今週の不等式 大学受験 数学

【今週の不等式No.1】高校数学 ジョルダンの不等式

目次

  1. 主張
  2. 証明
  3. 入試問題
  4. あとがき

主張

ジョルダンの不等式

ジョルダンの不等式:\(0 \leq x ≦ \frac{\pi}{2}\)を満たすすべての実数\(x\)に対して、以下の不等式が成立する。

\(\frac{2}{\pi}x \leq sinx \leq x\)

ジョルダンの不等式を用いることにより、三角関数を1次関数で評価することができます。
→複雑な積分を評価したり、はさみうちの原理を用いて極限を求めたりすることに活用できます。(難関大学であれ、ほぼ確実に誘導は付いていますが、本記事を読んでいただければ、誘導の意味もおのずと分かるはずです。)
右側の不等号は、大学数学でもよく出てくるマクローリン型の不等式(詳しく知りたい方は、あとでマクローリン展開で検索してみてください。)から来ています。

以下では汎用性の高い不等式の証明方法を2つ説明し、関連した入試問題(出典:和歌山大学システム工学部)も紹介しておきます。

では、ぜひ最後までご覧になってください。

証明

方針

三角関数と多項式関数という種類の異なる関数の大小を比較しなければなりませんので、単純な引き算では証明できないでしょう。となると、次に試してみたくなることは差を取って微分することです。(証明1)また、この不等式は関数の凸性を用いることにより、凸不等式からも証明することができます。(証明2)

入試問題で「この不等式を証明せよ」という旨の問題が出題された場合、証明2のほうを書くとスマートでしょう。

証明1(微分を用いた証明)

左側の不等式の証明

\(f(x)=sinx-\frac{2}{\pi}x\)とおくと、
\(f'(x)=cosx-\frac{2}{\pi}\)
\(\frac{2}{\pi}\)は1よりも小さいので、ある\(α\)(\(0 \leq α ≦ \frac{\pi}{2}\)をみたす)が存在し、\(cosα=\frac{2}{\pi}\)となる。
この前後で\(f'(x)\)は正から負に転じる。(∵\(cosx\)はこの範囲で単調に減少)
ゆえに、\(f(x)\)はこのとき増加から減少に転じ、\(f(x)\)は端点値の\(x=0\)または\(x=\frac{\pi}{2}\)で最小値をとるが、
\(f(0)=f(\frac{\pi}{2})=0\)であることから、最小値候補はすべて0以上となる。
∴\(0 \leq x ≦ \frac{\pi}{2}\)を満たすすべての実数\(x\)に対して\(f(x) \geq 0\)が成立し、左側の不等式は証明された。(証明おわり)

右側の不等式の証明

\(g(x)=x-sinx\)とおくと、
\(g'(x)=1-cosx \geq 0\)(∵\(cosx \leq 1\))
ゆえに、\(g(x)\)は単調に増加し、これと\(g(0)=0\)より、\(0 \leq x ≦ \frac{\pi}{2}\)を満たすすべての実数\(x\)に対して\(g(x) \geq 0\)が成立し、右側の不等式は証明された。(証明おわり)

以上より、ジョルダンの不等式が成立する。(証明おわり)

証明2(関数の凸性を用いた証明)

\(f(x)=sinx\)とおくと、\(f''(x)=-sinx \leq 0\)より、2次導関数が\(0 \leq x ≦ \frac{\pi}{2}\)の範囲において常に負であるから、\(f(x)\)のグラフは上に凸となる。
ゆえに、この範囲で、\(f(x)\)の接線は\(f(x)\)のグラフの上側に位置し、\(f(x)\)の割線は\(f(x)\)の下側に位置する。
\(y=sinx\)の原点における接線が\(y=x\)であり、\((x,y)=(0,0)\)と\((x,y)=(\frac{\pi}{2},1)\)の2点をを結んだ直線が\(y=\frac{2}{\pi}x\)であることから、ジョルダンの不等式が成立する。(証明おわり)

証明の際には以下のような図を書くと明瞭に意図が伝わるでしょう。(図はDesmosで作成しました。)


凸不等式の成立を自明のように扱ってしまっているので、次週以降でより一般化されたイェンゼンの凸不等式をテーマとして扱おうと思います。(かなり重い内容になるので、これに関しては複数週にわたり記事を書いていくかもしれません。乞うご期待を!)

入試問題

では、ジョルダンの不等式を使った入試問題を実際に解いていきましょう。

(問題)
(1)\(0 \leq x ≦ \frac{\pi}{2}\)のとき,不等式\(\frac{2}{\pi}x \leq sinx\)が成り立つことを証明せよ.
(2)不等式\(\int_0^\pi e^{-sinx} dx \leq \pi(1-\frac{1}{e})\)が成り立つことを証明せよ.
(00 和歌山大・システム工)

方針・解説は以下の記事を参照してください。

あとがき

最後まで閲覧していただきありがとうございました。

今週はジョルダンの不等式をテーマとして取り扱ってみました。1つの不等式を証明する中でも様々なポイントがあったと思いますので、ぜひ復習しておいてください。

今後も定期的に更新していきますので、ブックマークやツイッターアカウントのフォローのほうぜひしてみてください!

当サイトがいいな、と思った方はぜひ知人・友人に勧めてみてください!

当サイトについての質問・問い合わせなどは当サイトのフォーラムへコメントまたは自分の個人用のツイッターアカウントにDMをくだされば幸いです。(アカウントは@skrdy0121です。)

最終更新:2020 9/18(Fri.)

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

-今週の不等式, 大学受験, 数学
-, ,

Copyright © 2020-2021 Sacramy