大学受験 英語

等位接続詞orの意味4パターン -「あるいは」以外の意味が分かりますか? -

こんにちは。本記事では等位接続詞orの意味を4つ紹介していきます。「or=あるいは」の意味だけでなくその他3つの用法も習得しておきましょう!入試でも意外と盲点となる部分です。
最後に確認用の入試問題の例文もついているので合わせてご利用ください!では本編に入っていきましょう!

目次

  1. 選択「あるいは」
  2. 換言「つまり」
  3. 訂正「いやむしろ」
  4. 肯定命令文やmust, had betterなどを含む文章の後で「そうでなければ」
  5. 実際の入試問題で確認しよう!

選択「あるいは」

もっとも身近な用法ですね。強いて言えば、orは等位接続詞なので原則として文法的には同じ範疇のもの(名詞と名詞、形容詞と形容詞)を結びつけていることには留意しておきましょう。また、否定と組合わさると訳出する際に「AもBも~ない」となることに注意しておきましょう。

英英辞典の定義:used to introduce another possibility(Oxford)

(例1)He came to work by bus today or he has gone home early.(CGEL)
「彼は今日バスで仕事に来たか、早く家に帰ったかだ。」

→orは節と節を結んでいます。

(例2)I didn’t like his mother or his father.(CGEL)
「私は彼の母親も父親も好きではなかった。」

→否定文とorが組み合わさると、A or Bで「AもBも~ない」となりましたね。高校数学でいう集合と論理の内容でもドモルガンの法則として登場しますね。忘れている方のために一応紹介だけしておきます。

・ド・モルガンの法則
集合\(\mathrm{A}, \mathrm{B}\)に対し, 次式が成立する。
\(\overline{\mathrm{A \cap B}}=\overline{\mathrm{A}} \cup \overline{\mathrm{B}}\)
\(\overline{\mathrm{A \cup B}}=\overline{\mathrm{A}} \cap \overline{\mathrm{B}}\)

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換言「つまり」

orの前後の内容が同一でor前の内容をor後の内容が敷衍する形で用いられます。(要は後の内容のほうが前の内容よりもより説明的で詳しいということです。)orの前後の語が同一内容の時にはこの用法の可能性を意識してみましょう。

英英辞典の定義:used to introduce a word or phrase that explains or means the same as another(Oxford)

(例3)She studies botany, or the science of plants.(O-LEX)
「彼女は植物学、つまり植物に関する学問を研究している。」

→orを挟んでbotanyとthe science of plantsが同意表現となっています。

(例4)We can list four maxims, or basic rules, that follow from the cooperative principle: quantity, quality, relation, and manner.(京大1987)
「協力の原則に続く4つの原理、すなわち基本ルールを挙げることができる。4つの原理とは量、質、関係性、態度である。」

→orを挟んでfour maximsとbasic rulesが同意表現になっています。また、列挙のコロンも使用されていますね。

【参考】
【完全網羅】コロンの意味5パターン -コロンのイメージは具体化!- | Sacramy

訂正「いやむしろ」

or ratherくらいのニュアンスです。orの前で述べた語句をorの後ろの語句で訂正します。

英英辞典の定義:You use or to introduce a comment which corrects or modifies what you have just said.(Collins)

(例5)I think―or I feel―that it is wrong.(O-LEX)
「それは間違っていると思う、というかそんな気がする。」
(例6)The poem, or the kind of poem we write nowadays, is a single emotional spear-point, a concentrated effect that is achieved by leaving everything out but the emotion itself.(京大1988)
「詩というものは、いやむしろ今日書かれている類の詩は、感情が一本の槍の先になったもの、つまり感情そのもの以外を一切排除することによって得られる集中的な効果である。」

総称のtheが使用されており、orによってthe poem「詩というもの」を訂正してthe kind of poem we write nowadays「今日書かれている類の詩」と言っています。
→single emotional spear-pointとa concentrated effectはカンマを挟んで同格であり、that以下はeffectにかかる関係代名詞節です。また、butは前置詞として使用されており、「~を除いて」の意味です。

肯定命令文やmust, had betterなどを含む文章の後で「そうでなければ」

命令文口調の文章仮定法と合わせてorを使用する場合もあります。

英英辞典の定義:If you say that someone or should do something or something unpleasant happen, you are warning them that if they do not do it, the unpleasant thing will happen.(Collins)

「さもないと」という忠告ではなく単に「そうでなければ」とorの前文に対する論拠を述べる時にも使用するので注意しましょう。

英英辞典の定義:You use or to introduce something which is evidence for the truth of a statement you have just made.(Collins)

(例7)Don`t move, or I'll shoot you.(ジーニアス英和辞典)
「動くな、動くと撃つぞ。」
(例8)She can’t be ill, or she wouldn’t have come.(O-LEX)
「彼女は病気のはずがないよ、病気だったら来なかっただろうから。」

実際の入試問題で確認しよう!

1. Speakers, it is to be pointed out, do not always follow the basic rules we have described, and as a result, they may imply, intentionally or otherwise, something rather different from what they actually say. They may violate, take unfair advantage of, or choose not to observe one of the rules, or two of the rules may clash in a particular instance. (京大1987 [1] 下線部)

【文脈】
会話における発言には「協力」の原則をはじめ5つの原則があることを述べた英文からです。直前の文脈では、日常生活において会話はそのような原則が守られた理想的な状態ではないことが多いということが指摘されています。

【訳例】
指摘しておくべきことは、発言する人は必ずしも上述の基本原則に従うとは限らないということ、そしてその結果として、彼らは意図的であるにせよないにせよ、実際の発言とはかなり異なったことを示唆してしまうかもしれないということだ。

→第1文はit is to be pointed「指摘されなければならない」が挿入された形になっています。元の文に戻すと、it is to be pointed (that) speakers do not always…となります。itは形式主語であり、真主語は省略されているthat以下となります。
→it is to be pointedはbe to不定詞の用法で本問では「義務」を表します。
→do not alwaysは部分否定であることに注意しましょう。
→the basic rules we have describedの部分にはrulesとweの間に関係代名詞[that / which]が省略されています。名詞+代名詞の語順が来た場合、関係代名詞が省略されている可能性が非常に高いです。
→,and as a result…の部分もthat節の中に入っています。もし入っていないと仮定すると、「~ということを指摘するべきだ」→「その結果、~ということを示唆する」となって因果関係が上手くいきません。この事実からも、この部分はthat節の中に含めるべきでしょう。
→intentionally or otherwiseはintentionally or not intentionallyです。(3番目の「違ったふうに」の用法)
→基本的にA or Bは「AまたはB」の意味です。しかし、今回のようにAとBが相反するものであったり、AとBで全体集合をカバーできていたりする場合には譲歩のように捉えて「AであれBであれ」と訳出するとよいです。(本問の場合whether they do so intentionally or not intentionallyとみなせばよいです。)

【単語】
・point out:「指摘する」
・imply:「示唆する」
・intentionally:「意図的に」

【参考】
【完全版】otherwiseの意味4パターン -語源と14の例文で全パターン徹底解説!- | Sacramy

2. This conception is irreconcilable with the rival, or dualistic conception, which separates and opposes force and matter, life and body.(京大2021 [1])

【文脈】
ダーウィンの「種の起源」がなぜ影響力を持ったか、ということを論じた2021年京大英語[2]で一元論と二元論の対立を述べた部分からです。冒頭のThis conceptionは一元論のことを指しています。

【訳例】
この概念(=一元論)は対立する概念、つまり二元論とは相容れない。(そして)二元論は精神と物体、心と体を分離し、背反するものだとした。

→「精神と物体、心と体を分離し」と言っているのは物心二元論や心身二元論のことを指しています。高校の倫理でも学習する内容なのでほとんどの方が知っているでしょう。
→orは「つまり」の意味で、the rivalがdualistic conceptionであることを述べています。

【単語】
・be irreconcilable with A:「Aとは相容れない」
・dualistic:「二元論の」

【参考】
【全国模試1位に学ぶ英語】令和3年度 京大英語2021 大問2解説 | Sacramy

3. Science, especially its mathematical side, is like that: only young minds can stretch to discover and embrace new concepts, and if the new concepts are as dramatically different from old concepts as those Einstein developed, it can take the rest of your life, or several lifetimes, to work out the implications. (John Gribin: The Case of the Missing Neutrinos 京大実戦2008 11月 [1])

【文脈】
「一般相対性理論」など数々の功績を残したアインシュタインですが、歳をとり白髪で舌を出しているアインシュタインの一般的なイメージとは異なり、実は彼は20代という若さで数々の発見をしていた、ということを述べた文章からです。若くて純粋な頭だからこそできること、というのがありますよね。
第一文目のthatは「アインシュタインの最も偉大な著作はすべて、第一次世界大戦が終わる前に既に完成されていた」という前文の内容を指しています。

【訳例】
科学というのは、とりわけその数学的な側面は、そのようなものである。つまり、若い人々だけがのびのびとして新しい概念を発見し、受け入れることができるというものだ。そして、その新しい概念が、アインシュタインが発展させた考えと同じくらい劇的に古い概念と異なっている場合には、それが示唆することを理解するには残りの人生、いや何人分もの人生が必要になる可能性がある。

→コロンは補足説明の役割をしています。詳しくは以下の参考記事をご覧ください。
→mindは「(精神の持ち主としての)人」という意味です。「精神」「心」だけではなくこの訳も頻出ですので必ず抑えておきましょう。
→discover and embrace new conceptsはnew conceptsが2つの他動詞の共通の目的語になっていることに注意して訳出しましょう。
→等位接続詞のandはScience …is like thatとif節+it can take…を結び付けています。
→those Einstein developedはconcepts Einstein developedの意味です。
→if節内ではas as構文が使用されており、A are as dramatically different from old concepts as BAはBと同じくらい劇的に古い概念と異なっている」という意味です。正確に言えばここでは、Bが古い概念と異なっている度合いとAが古い概念と異なっている度合いを比較して、それらがどちらも同じくらいですよ、と言っています。何と何を比較しているのかを見誤らないように注意しましょう。
→it takes A to Vは「VするのにはA(時間)かかる」という意味です。道案内とかでよくでてきますよね。(例)It only takes 30 minutes to go to the station.「その駅に行くのに30分しかかかりませんよ。」
→canは「可能性がある」の意味です。
→orは「いやむしろ」の意味でorを挟んでthe rest of your lifeをseveral lifetimesで訂正しています。筆者としては文章を書きながら「残りの人生の間かかるやろなあ、いやもっとかかるな、何人かの人生くらいの年数かかりそうやな」みたいな気持ちで書いている感じですね。
→the implicationsは(無理やり名詞構文風にするのならば)what the new concepts implicate「その新しい概念が示唆すること」の名詞構文です。

【単語】
・stretch to V:「のびのびとVする」

【参考】
【完全網羅】コロンの意味5パターン -コロンのイメージは具体化!- | Sacramy

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あとがき

最後までご覧いただきありがとうございました。当サイトでは英語・数学を中心に大学受験+αの情報を発信しています。以下のおすすめ記事もぜひ合わせてご覧になってください。それでは!

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Y. S.

洛北(中高一貫)→京都大学理学部3生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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