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京都大学法学部合格体験記 ~京大文系の攻略法 総論編~

本記事では2021年3月から新たに当サイトのライターとして加わった京大法学部の中村の合格体験記及び、京大文系合格のための戦略の解説をしていきます。京大模試の英語・世界史で全国1位、総合点でも全国2位を取った凄い方です!ぜひ最後までご覧になってください!

彼の紹介はこちらから→【ライターの紹介】中村 悠生(京都大学法学部1回生) | Sacramy

目次

  1. まえがき
  2. 直近10年間の合格最低点と目標点
  3. 合格のための戦略
  4. 各教科の目標得点
  5. 社会科目の選び方
  6. 勉強計画
  7. あとがき

まえがき

こんにちは。ライターの中村悠生(なかむら ゆう)です。今回は京都大学文系学部の合格のための戦略を書いていきたいと思います。

この戦略は通っていた塾の先生に教えてもらったものと、自分が受験勉強をする中で感じたことを組み合わせたものになります。参考にしていただければ幸いですが、無理にこの戦略を鵜呑みにする必要はありません。

今回は長々と文字ばかりが続きます、申し訳ありません。では、いきましょう!

直近10年間の合格最低点と目標点

総合人間学部(文系)満点:800, 目標点:520

文学部 満点:750, 目標点:490

教育学部(文系)満点:900, 目標点:570

法学部 満点:820, 目標点:550

経済学部(文系)満点:800, 目標点:535

出典:京都大学合格最低点・平均点の推移 | 京都大学入試情報2021 | 京大塾 (kawai-juku.ac.jp)

例えばですが、直近のデータのうち最も高い点数を一つの目標として、本番でこの点数を出せるようにすれば十分合格できると思います。

合格のための戦略

京大文系では数学、英語、国語、社会の四科目が課されますが、この中でも科目の特性上、勉強の優先度があると思います。個人的な優先度としては、英語>社会>数学>国語です。以下ではそれぞれについて詳しく説明していきます。

まず、一番時間をかけるべき教科は英語だと考えています。京大の英語は英文和訳問題と和文英訳問題が中心に出題されますが、とても難解であり、勉強し始めたころはしんどいです。しかし、形式に慣れて問題演習を積むことで点数のブレがかなり減るので、安定して成績に貢献してくれます。(中村も英語が得意になってからは京大模試では一度も100点を切りませんでした。)

次に優先するべき教科は社会です。科目の選び方については後述しますが、総じて勉強すればするほど点数が上がる科目だと思います。また、難易度のブレもそれほど起こらないので、一度高得点をとれるようになると安定するようになる科目です。社会は高2からぼちぼち始めていけば十分間に合うと思います。

その次に数学です。文系数学というものは厄介なものであり、簡単な年は6割がボーダーだといわれたりしますが、難しい年は2割前後でも合格できたりします。圧倒的な実力がない限り、普段は120点ほど取れていても難化すると本番で60点になったりするので、どこまで勉強するかは悩みどころだと思います。自分も直前期に数学に時間をかけるかどうかですごく悩んだ記憶があります。普段できないのに本番だけできるなんてことはないので、社会の勉強を始める前にある程度の実力はつけておきたいところです。

最後に国語です。国語は正直ほとんど差がつかないと思います。(特に現代文。)トップの受験生でも7割行ったらよい方ですので、平均点をとれるまで勉強すれば良いと思います。しかし、現代文も古文も毎回適当に解いていては点数が安定しませんから、ある程度の文の読み方や解答の作成方法は身に着けておきましょう。

各教科の目標得点

次に各教科の目標点について、自分が受験した法学部のものをベースとしてモデルを考えておきます。(文系学部の中でも配点が最もシンプルでわかりやすいです。)

あくまでも一例ですので、参考程度に見ていただければ幸いです。まず、共通テストと2次試験の配点は以下のようになっています。

共通テストが3分の1に圧縮されて、2次試験は各教科の点数がそのまま加算されることが特徴です。

共通テスト

85%は切りたくないところです。80%だと少しビハインドだと思います。もちろん、目指すべきは90%です。意外と共通テストの点数は大きいので注意してください。(全体820点中の270点を占めているのでおよそ30パーセントが共通テストの得点になる計算です。文系は共通テストの重みがデカいです…。)

二次試験

1°)数学があまり得意でない人
共テ229.5/270(85%), 数学60/150, 英語100/150, 国語80/150, 社会80/100:合計549.5/820

数学が低いとその分、他の3科目でとらないといけないです。国語で80点取るというのは中々きついですし、社会も採点によっては80行かないこともあると思います。共通もこれ以上下がるとなかなかきついのではないでしょうか。やはり英語と社会がかなり重要であることがわかります。

2°)数学がある程度できる人
共テ229.5/270(85%), 数学90/150, 英語90/150, 国語70/150, 社会70/100:合計549.5/820

数学が本番でこれくらい取れれば、他の科目が多少低くても十分戦えます。しかし、本番数学が難化した時のために英語、社会を伸ばさなければなりません。(例えば2020年度の文系数学が良い例です。)

3°)中村の目標点
共テ243/270(90%), 数学120/150, 英語120/150, 国語70/150, 社会85/100:合計638/820

数学が難化した時のために英語、社会は高めに設定していました。先ほども述べたように、受験する前年の文系数学がとても難化したことと、11月の京大実戦模試で数学がとても難しくなったとき、60点くらいしか取れなかったので数学に依存するのはよくないです。(理系でも数学のみに頼ることが良くないと、よく言われていますよね…。)

とにかく、英語、社会で高得点を取れれば受験に落ちるリスクはかなり減少すると思われます。英語は100、社会は80を一つの目標としてみてください。

社会科目の選び方

社会はどれを選ぶかでかなり迷うとは思いますが、個人的には世界史で一択だと思います。(もちろん、もう選んでしまったという方は変えなくても構いません。)

各科目の特徴

世界史

選択者が一番多いです。どの予備校の京大模試を見ても、社会の点数が高いのは世界史であることが多いです。(もちろん、入試本番に得点調整が行われる可能性は否定できませんが。)

高校の授業で通史が終わるのが遅いとややきついですが、十分自分で進められるため、勉強に詰まることはないです。

日本史

世界史の次に選択者が多い印象を受けます。日本の歴史であるので知っていることが多く、通史は早く終わりやすいです。しかし、紛らわしい語句が多く漢字の書き取りも厄介です。また、京大では史料問題が出て、世界史よりもやや難しそうです。

地理

一番選択者が少ないです。おそらく文系受験者の中で体感2割もとっていないと思います。世界史、日本史ほど知識だけで解ける問題は多くなく、考察が求められる問題が多い印象です。京大模試でも世界史、日本史では最高点が90点台に乗ることがあるのに対し、地理はほとんど毎回70点台で止まっています。時間をかけても点数が上がるかは保証できないです

ざっとこんな感じで、大きく外れてはいないと思います。こうした観点からも、一番おすすめは世界史です。その次に日本史です。地理は語句の暗記をできるだけしたくないという人のみが選ぶべきでしょう。

世界史の勉強法について、京大実戦模試で1位を取った経験を踏まえて後日改めて記事を書きたいと思います。

勉強計画

高2

主に英語、数学を鍛えましょう。また少なくとも秋ごろまでには社会を始めたいです。さらに、秋に一度河合塾の京大オープンを受けてみるとよいです。高2でも申し込めます!)高2秋での自分の実力、また秋での受験生の実力を知ることができるので受けていて損はないです。ちなみに、秋にある駿台の京大実戦は数学がとても難しいので高2段階で受けるのはあまりお勧めしません。

高2の1月ころにある駿台全国模試で英語が偏差値65以上、数学が偏差値60程度とれていたら上出来だと思います。もちろん、もっと高い偏差値をとることを目指して勉強してください。

~高3夏

主に英語、社会、数学を鍛えます。あまりに社会を放置しすぎると後々社会漬けになって退屈になるので気を付けましょう。社会ならどれだけ後伸ばしにしても、夏までに一通り終わらせておきたいです。

高3夏

夏に京大模試が2~4回あります。(東進、代ゼミ、河合塾、駿台)夏の京大模試は比較的穏やかな出題であることが多いので、標準的な京大の難易度で自分がどれくらい解くことができるのか把握できます。目標はB判定でしょうか。A判定が取れれば上出来です。逆に、C,D判定でもまだまだ挽回できるので諦めないことが大切です。

先程も少し触れましたが、数学の点数だけで判定を上げている人です。数学は本番でどうなるかわかりませんから、英語、社会で高得点をとってよい判定を出したいところです。

高3夏休み~秋

夏の模試で自分が弱いところを伸ばしていきましょう。また、過去問に少しでも良いので取り組み始めたいところです。(英語、数学)京大の問題は本当に良い問題が多いので、これらを共通テスト後まで残しておくのはとてももったいないです。はじめは京大の難しさにやる気をなくすかもしれませんが、それは誰もが通る道なので早めに通っておくほうが良いです。

高3秋

京大模試が2~4回あります。秋の模試はやや難しいことが多いですが、それでも過去問と同程度です。夏と同じく英語、社会を軸に高得点を狙っていきたいです。目標はA判定。しかし、B以下でも十分に逆転はできます。また、共通テスト模試とのドッキング判定も出るので活用したいです。

高3秋~共通テスト

共通テストの対策にシフトします。しかし、2次の対策もしておきたいです。特に英語、数学はしばらく答案作成をしていないと共通テスト後にかなり苦戦することになるので気をつけてください。(いわゆる2次ボケです。)

共:2次の割合としては、12月までは8:2、12月以降は5:5、1月からは2:8くらいのイメージでしょうか。共通テストの対策はあまり面白くないかもしれないので、2次の対策にかける時間のあった方がいいと思います。

共通テスト後~2次試験

過去問を進めましょう。たとえ25か年を持っていても全部する必要はないです。直近15年ほどを3周するなどして復習に徹する方が成績上昇が見込めるので注意したいところです。また、近年出題傾向が変わっている科目(主に英語)に関しては、京大模試の過去問をやって形式に慣れることをしても良いでしょう。

以下2冊は京大模試の英語の過去問になっています。是非手に取ってみてください!

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このようなスケジュールで進めれば、一定京大に合格できる実力が身につくと思います。もちろん、自分の実力に合わせて適宜修正してください。

あとがき

長々と書きましたが、読んでくださりありがとうございました。自分が受験勉強をしてきた中で感じた一番安定する京大文系の受かり方を記したつもりです。この記事を見てくださった受験生のお役に立てれば幸いです。

今後ともいろいろなコンテンツを寄稿していくつもりなので、今後ともよろしくお願いいたします。

当サイトについて、自分が寄稿した記事のミスや質問等は当サイトのフォーラムへコメントまたは自分の個人用のツイッターアカウントにDMをくだされば幸いです。(Twitter:@yu_naka64

また、当サイトでは英語・数学を中心に大学受験+αの情報を発信しています。以下のおすすめ記事もぜひ合わせてご覧になってください。それでは!

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Y. S.

洛北(中高一貫)→京都大学理学部3生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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