大学受験 英語

【全国模試1位に学ぶ英語】令和3年度 京大英語2021 大問1解説

目次

  1. まえがき
  2. 本年度の問題の総評
  3. 大問1解説
  4. 解答を書く
  5. あとがき
  6. 筆者の紹介

まえがき

初めまして、こんにちは。この記事では2020年度の京大英語に引き続き、今年度の京大入試の英語の全英文解釈および解答解説をしつつ、英語に対してどのように取り組んでいけばよいのかを説明していきたいと思います。以下で自分なりの英語の文章に対するアプローチの方法などを咀嚼して伝えていきたいと思います。先に書いておきますが、自分は英語の文献を読む際、マクロとミクロという2つの視点を非常に重要視しています。

いきなりですが、少し雑談です。

自分は京大英語には割と愛着があって、高2の夏の初めから週に何回か学校帰りに大垣書店で赤本を立ち読みして下線部和訳問題を解いていました。そして高2の10月に「もう買ってしまおう!」ということで遂に思い切って赤本を購入し過去問を解き始めました。高3の夏休みに入る前に25ヵ年は一通り終わってしまったので、そこからは駿台京都校の寄贈赤本全国入試問題正解で見つけた古い問題各予備校の模試の過去問をひたすら解いていました。その結果、気付けば大学入試までに、

京大英語の過去問:前期40年分、後期3年分

京大実戦10回分、京大オープン12回分

を解いていました。京大模試のほうでも高2から京大実戦を受験し、高3では京大模試の英語で全国1位を取れるまでひたすら頑張っていました。問題演習の中で過去問研究もかなりしていたので京大英語にはそれなりの思い入れがあったりします。

さて、本題に戻ります。自分の英文の読み方は高3エクストラ英語でもお世話になった駿台英語科の竹岡広信先生と、精読を教わった駿台英語科の桜井博之先生の影響がかなり強いです。そのため、以下で行う解説は、本文通読(マクロ)においては竹岡先生の影響を強く受け、精読(構文解析、ミクロ)においては桜井先生の影響をかなり強く受けています。特に、桜井先生のほうでは英文読解の着眼点という本に感銘を受けました。

とはいえ、一般的に見て十分通用する解説に仕上げていきたいと思います。その点、把握よろしくお願いします。要旨解説のあと、全文の構文解析を行い、最後に解答を書きたいと思います。(京大実戦の解説と流れはだいたい同じです。)

なお、本記事の一番後ろに、英文読解に役立つ著作を紹介し、その活用方法を書いておきます。ぜひ一度手にとってみてください。

今年の入試を解いていない方でも十分理解できるような記事に仕上げました。

このブログ内でミスを発見した場合、自分のツイッターアカウントにDMを下されば幸いです。(アカウントは@skrdy0121です。)

※以下、特に注意してほしいポイントは赤字にしてあります。

本年度の問題の総評

全体的な分析こちらの記事からご覧になることができます。本記事を読み終えた後にぜひ読んでみてください!ここではその記事から抜粋して概観を示しておきましょう。

まずはじめに、今年の京大の英語は形式が2014年以前の和訳一本の問題に戻り、難化しているようです。予備校の分析もそうですし、自分がTwitter上で独自に行ったアンケートでも約70パーセントの方が難化したと答えていました。個人的な所感でいうと、大問1,3,4は平年並みですが、大問2だけが非常に難しく、古き良き1990年代~2000年代前半に戻った感じでしょうか。また、予備校の解答速報を見ても大問2(b)のWhy not?の解釈なんかは全滅しています。この点は後で詳しく言及しますが、どうやら難しかったみたいですね。

これだけにとどまらず、他にも今年の京大英語には見どころがあって、激アツです。この大問2の文章はジョージ・ヘンリー・ルイスという方がダーウィンの種の起源を評価し、その中で一般大衆がダーウィンの進化論に対してどのように反応したか、ということを述べた部分が、第2~第5パラグラフに渡って引用されているのですが、この引用元の原文がなんと1868年に書かれた文章なのです!19世紀です。もう150年も前のことなのです。ジョージ・ヘンリー・ルイスという方も調べれば調べるほど興味深いので後で語ることにします。

英作文のほうも大問3では京大が大好きな慣用句を出題してきました。今回は「転ばぬ先の杖」でしたね。前回は2017年の大問3で「生兵法は大怪我のもと」が出題されていました。この部分をどう処理するかということから、京大英語らしさの一端が覗われます。

さらに大問4の自由英作文では2016,2017,2018年度と3年間にわたって出題されていた会話文を埋める形式の自由英作文が復活しました。今年度のものは2018年度のものと同じ毛色の問題ですね。Hasty Generalization「早まった一般化」という誤謬が主題となっています。

大問1解説

大問1では2014年以前の英文和訳問題のみの構成に戻りました。大問2に比べて印象が薄いですが、「フィクションの効用」について語られた文章です。京大の英語は去年も人文科学系の文章が1問自然科学の文章が1問の構成になっていましたね。

パラグラフごとの要旨 -マクロな視点から読む-

本文を最初に読むときはまず大雑把でいいので、文章を通じて筆者が何を言いたいかを理解しましょう。その際、本文の横に自分が読み取ったことを適宜メモすることが望ましいです。(パラグラフごとにメモするのは時代遅れだと思います。自分で文章を読み、必要に応じて適宜メモを取りましょう。)以下、口語表現を交えて簡潔にパラグラフごとの内容をまとめます。

・1パラ:物語を話す・伝えるというようなことは身の回りにありふれている。

・2パラ:物語の中でも特にフィクションに触れる機会が多く、フィクションが私たちにとって良いか否かを考えることは何かしら役に立つだろう。その問いは古代の哲学者の時代にまで遡る。→(例)プラトン(詩を排斥)vsアリストテレス(詩は正当化される)

・3パラ:この問は現代まで続き、心理学の立場からすると、フィクションによって私たちは変化しやすなり、その結果対人関係における感受性が養われる。

・4パラ:他人の感情を理解できることと、それに基づいた同情的な行動とは別問題である→この問題については、フィクションを読むこととの関係を踏まえて今後解明されることを望む。

構文解析、全文和訳 -ミクロな視点から読む-

試験本番では、本文を大雑把に理解した後は内容説明問題や和訳に必要な部分を特定し、その部分の意味を解析する作業が必要となります。(マクロ→ミクロ

ここでは説明の都合上、全文の和訳と解説をします。設問該当箇所を探す段階については、各設問解説で言及します。(問題を解いて答えを確認したい方は先に4章のほうを読むことを推奨します。)

第1パラグラフ

・Telling stories is an activity that has been with human beings from the beginning of time.
(訳)物語を伝えることは、人間が人類史以来ずっと行ってきた活動である。

第1文目には文章の主題にあたる内容が含まれていることが多いです。パラグラフの最初であってもそのパラグラフの主題が述べられていることもしばしばあります。注意を払っておきましょう。本問の場合だと、telling stories「物語を伝えること」についての内容が以下で展開されていくでしょう。(ここでいう物語は文学作品でいう物語ではなく、"お話"という意味での物語のことを指しています。)

・We might go so far as to say we are story-telling animals born with narrative instinct.
(訳)私たち(=人間)は、自分たち(=人間)が語りの本能を生まれつき持っている動物であるとまで言うかもしれない。

go so far as to Vの形はよく見る形です。直訳すると「Vするほどにまで行く」ですが、「Vするにまでに至る」「~とまでVする」など訳出を工夫しておきたいところです。(2021年度大阪大学、京都大学の過去問でも過去に出題あり)

narrative (narrat/ive)はラテン語のnarratus「語りの」が語源で語尾のiveは性質「~の」を表します。よく日本語でナレーター(=語り手)といいますよね。それも同語源です。

・未知語の類推

未知語の意味の類推は、

文意から推測
対比・言い換えから推測
単語の成り立ち・語源から推測
日常のカタカナ語から推測(和製英語には注意!)

の4つの視点を持っておきましょう。

narrativeとstory-tellingを同時に訳出してしまうと意味が重複してしまうので訳出を工夫するか1回しか訳さないなどで対処します。

この文をは続く1文で具体化されています。

・We go to work in the morning, see our officemates, and tell them what happened on the previous night; we go home in the evening, see our family, and tell them what happened during the day.
(訳)私たちは朝、仕事に行き、同僚に会い、彼らに前夜に起きたことを話す。私たちは夕方、家に帰り、家族に会い、一日の間に起きたことを話す。

officemate(office/mate)は「会社の仲間」→「同僚」の意味。mateには「仲間」「つがいの相手」などの意味があり、classmateのmateも同じです。

前文の内容がここで具体化されています。このように、英語では「漠然→具体」の流れがしばしば見受けられます。そのありがたみが感じられつ部分でまた詳しく触れることにしましょう。

ここのセミコロンには日本語上の特別これと言った意味はなく、2つの完全文を接続詞なしで繋いでいるのみです。(強いていうのであれば(朝と夜の)対比でしょうか。ここでは漢文でいう対句のようなものです。)ここで折角の機会なのでセミコロンについて触れておきましょう。(コロンは第1パラグラフ最終文で解説します。)

・セミコロンの解釈4パターン

セミコロンは接続詞を使うことなく独立した節を繋ぐことに基本的な役割があります。具体化、対比、(列挙)の働きもあれば、特に具体的な日本語上の意味はなく単に2文を繋ぐだけのときもあります。(いずれにせよ、日本語の訳出に直接現れてくることは稀です。)

特に、今年の京大英語大問2(3)で出てきたように(セミコロン)+(and, butなどの接続詞、therefore, howeverなどの副詞)と来た場合はセミコロンには単に「文章の切れ目を明確にする」のみで意味はありません。前後の2文は関連する内容であることが多いです

ピリオドと置換しても意味が通ることがほとんどです。(もちろん(セミコロン)+(and, butなどの接続詞)の場合は無理でしょう。)

しかし、ピリオドほど文章を完全に切らないけれども、カンマよりは文章の切れ目を明確にしてくれます。(セミコロンってよくみると上半分がピリオドで下半分がカンマになっていますよね。)

では重要な意味4つを挙げておいて、例文を見ておきましょう。

具体化
(例)People die. It is a strange event; it is a fate that is not accurately understood.
「人は死ぬ。死とは奇妙な出来事である。死は正確には理解されていない運命なのだ。」

→a strange eventがセミコロン以下のa fate that…により具体化されています。

対比
(例)A pessimist sees the difficulty in every opportunity; an optimist sees the opportunity in every difficulty. (Winston Churchill)
「悲観主義者はあらゆる機会に困難を見る。(それに対して)楽観主義者はあらゆる困難にチャンスを見出す。」

→a pessimist「悲観主義者」とan optimist「楽観主義者」が対比されています。

本問の先ほどの例も(強いて言うならば)対比の意味で使われていると読めるでしょう。

列挙(①に含まれる)
(例)The Silence of the Lambs swept the other major categories in the Academy Awards, with Jodie Foster, for Best Actress; Anthony Hopkins, for Best Actor; and Jonathan Demme, for Best Director.
「「羊達の沈黙」はアカデミー賞において他の主要カテゴリーも総なめにした。ジョディ・フォスターがアカデミー主演女優賞、アンソニー・ホプキンスがアカデミーベスト男優賞、 ジョナサン・デミ がアカデミー監督賞というように。」
④単に2文を繋ぐ(接続詞や副詞を伴うことあり)
(例)I think; therefore I am.
「我思う、故に我あり。」

→有名な哲学者のデカルトが方法的懐疑によってもなお疑い得ない存在があるとして、それは疑っているという意識を持つ自分自身であると述べたセリフですね。つまり「自分はなぜここにあるのか」と考えること自体が自分が存在する証明です。

・We love to tell stories and we love to listen to them.
(訳)私たちは物語を伝えることが大好きであり、それら(=物語)を聴くことも大好きである。
・Narrative is everywhere: news, gossip, dreams, fantasies, reports, confessions, and so on and so forth.
(訳)物語はあらゆるところにある。報道やうわさ話、夢、空想、報告、告白、その他もろもろがある。

narrativeには先程登場した形容詞の用法だけでなく、今回のように名詞として「物語」の意味もあります。

confessは「打ち明ける」「告白する」の意味で、confessionはその名詞形です。難しい単語ですが、この単語の意味が分からなくとも本文読解に支障はないでしょう。

and so on and so forthは「その他もろもろ」の意味です。

さて、コロンについて学習しておきましょう。

・コロンの解釈

コロンはコロン以前の内容を具体化列挙や補足説明)する働きがほとんどです。

本問では①の列挙の意味で使用されています。

列挙
(例)I like Japanese foods: sushi, tempura, and sukiyaki.
「私は和食が好きです。寿司や天ぷら、すき焼きが好きです。(=好きなものは寿司や天ぷら、すき焼きです。)」

→和食の中でも具体的に何が好きかをコロン以下で列挙しています。

補足説明
(例)I have very little time to go to the gym: my new job starts in two weeks.
「私はジムに行く時間がほとんどない。というのも2週間後には新しい仕事が始まるからだ。」

→このコロンはbecauseと置換可能です。このように、単に文章をつなぐだけではなく、and以外の接続詞的な意味を持つこともしばしばあります。

(例)Japan is a forest country: 67% of the land is covered with forests.
「日本は森林の国です。国土の67パーセントが森林で覆われています。」

→コロン以前の内容がコロン以後の内容によって具体的に説明されています。

強調
(例)Only one student from the school has been nominated for the piano award: me.
「その学校のたった1人の生徒だけがピアノ賞に選ばれました。それは私です。」

以上、第1パラグラフを見て来ましたが、結局一貫して筆者が主張していたことは「物語を話す・伝えるというようなことは身の回りにありふれている。」ということでした。内容自体はまだ薄いほでしたが、解説がかなり長くなりましたね。先が思いやられます。それでは第2パラグラフを読んでいきましょう!

第2パラグラフ

・In particular, we spend a deal of time consuming all kinds of fictional narratives, such as novels, cartoon stories, movies, TV serials.
(訳)特に、私たちは大量の時間を小説や漫画、映画、テレビの連続番組など様々なフィクションの(作りごとの)物語を読んで過ごす。

第1パラグラフは物語全般の抽象的な話のみでしたがどうやら第2パラグラフからはフィクションについて話題が絞り込まれるようです。以下、その点に注意して読んでいきましょう。

spend [時間] Ving「(時間)を~して過ごす」は英作文でも頻出の表現です。

・Surely it will be of some use to ponder whether fiction is good for us or not.
(訳)確かなことだが、フィクションが私たちにとって有益か否かをじっくり考えることはある程度有益であろう。

文頭のsurelyは文全体を修飾する副詞です。文修飾の副詞は文頭あるいは文末に置かれていることが多いです。

・文修飾の副詞

まずは次の2文の違いを考えてみましょう。

(例1)He didn't die happily.「彼は幸福に死ななかった。」
(例2)Happily, he didn't die.「幸運なことに、彼は死ななかった。」

例1ではhappilyは語修飾の副詞として用いられており、動詞のdieにかかっています。この文は「彼は幸福な死に方をしなかった」ことを主張しています。(「彼が死んだ」という事実はあります。)

一方、例2ではhappilyは文修飾の副詞として用いられており、he didn't die.という文全体を修飾しています。この文は「彼は幸いなことに死んでおらず、生きている」ことを主張しています。(彼は生きています。)

この2つの例から副詞が語修飾か文修飾かの違いがいかに大切かが分かるかと思います。

では実際の入試問題の例文を見てみましょう。

(例)文修飾の副詞
Adults do not usually put up with theft, demands for money, or bodily assault, and if it happens to them they may rightly seek legal support.
「大人たちはたいてい窃盗やお金を要求されることあるいは身体へ攻撃されることを我慢することはなく、もしそのようなことが自分の身に起きた場合、法的な援助を求めることは当然のことかもしれない。」

→rightlyが文修飾の副詞として機能しています。

よくある例として、surely / certainly / apparently / probably / possibly / perhaps / reportedly / rightly / naturallyなどでしょうか。一度に大量に覚えるのは大変なので英語を勉強する中で出会う度に1つずつ習得していけばよいでしょう。

of useはof+[抽象名詞]の形でusefulと同義です。

ponderはpondus「重さ」が語源で貨幣通貨や重さの単位のポンドと同じ語源を持っています。「重さ」→「天秤にかけて重さを計る」→「天秤にかけてじっくり考える」という意味になります。

語源から推測するのは難しいでしょうが、①文意から推測によって意味は分かるでしょう。

・Indeed, this is a problem with a long history going back to ancient philosophers.
(訳)実際、これ(=フィクションが有益か否か)は古代の哲学者に遡る長い歴史の中で問題であった。

漠然とした内容が出て来ましたが、続く文章でプラトンとアリストテレスの2項対立の具体例で説明されています。(漠然→具体の流れ)

thisは前文のwhether fiction is good for us or notの部分を受けています。

history goingは(名詞)+(現在分詞)の形ですが、ここでこの形の解釈を見ておきましょう。

・名詞+Vingの解釈2パターン
意味上の主語+動名詞
(例)I cannot stand things not being kept in their proper places.
「私は物があるべき所に置いていないことには耐えられない。」

→Things are not kept…を動名詞にした形であり、thingsがnot being kept…の意味上の主語となっています。「あるべき所に置いていないもの」と訳すのは誤りです。というのも、「耐えられない」対象は「もの」それ自体ではないからです。
→notが入る位置は意味上の主語とVingの間です。英作文で用いる時には注意しましょう。

②名詞+現在分詞
(例)One of the key factors contributing to a country's health care conditions is its number of health care workers.
「国の医療事情に影響する重要な要因のひとつは、医療従事者の数である。」

→contributing to…がthe key factorsを修飾しています。

【注意】
①か②かは文脈次第ですが、まず①の形であることを疑うのが鉄則です。(本問では②のほうで解釈するのが適切です。)入試では圧倒的に①が理解できているかの是非を問う問題が経験上多いです。(模試でもこのタイプの問題は非常に出来が悪いそうです。)

・Plato famously excluded poets from his ideal republic, for he thought their creations were ultimately untrue.
(訳)有名なことだが、プラトンは自身が理想とする共和国から詩人を排除した。というのも、彼は詩人が作ったものは究極的には(最終的には)嘘であると考えたからだ。

プラトン(B.C, 427-B.C. 347)は倫理でよく出てくる古代ギリシャの哲学者です。his ideal republic「理想とする共和国」とは、国家が統治者階級・防衛者階級・生産者階級の3段階に分かれ各階級がそれぞれ知恵・勇気・節制の徳をそなえるとき、新の調和の取れた国家が成立する、というものでしょう。

famouslyは先ほど出てきたsurelyと同じで文修飾の副詞となっています。この文を言い換えると、It is famous that Plato excluded poets from his ideal republic.となります。

exclude(ex/clude)はex「外へ」+claudo「閉め出す」から「排除する」の意味になります。(⇔include「含む←中に閉め込む」)

forは接続詞のforです。後ろにSVを含む1文が続いていることからそう判断できます。

・Put in the simplest terms, he regarded poems as lies.
(例)最も簡単な言葉で言うと、彼は詩を嘘だとみなしたのだ。

regard A as B「AをBとみなす」の形が用いられています。次の文章にもasが登場してくるのでasについても触れておきましょう。

・He did not believe something offered as fiction could justify itself.
(訳)彼はフィクションとして書かれたものがそれ自身を正当化しうる(正当化される)とは思わなかった。
・asの解釈12パターン

多すぎるので例文は省きます。こればかりは自分で英文に触れながら全部覚えるしかありません。しかし、asの原義は「同じくらい」であり、以下12個の意味は全てそれに派生しています。(聞いた話によると、元々は「同じくらい」の意味しかなかったが、アメリカの若者がasを乱用しだして意味が増えたらしいです。)

1°)前置詞:as+(名詞)
①「~として」→特に、動詞 A as Bで用いられることが多いです。
②「~の頃」→as a childなどで用います。

2°)接続詞:as+完全文
①「~すると同時に」「~しながら」(同時
②「~するにつれて」(比例
③「~するように」(様態
④「~するのとは違って」(対比)→④を否定の文脈で用いる時⑤の意味になります。
⑤「~なので」(理由
⑥「~と同じくらい」(比較級原級
⑦「φ(訳さない)」(名詞限定)→as we know itなどの形で用います。本問の下線部(1)でも登場します。第2パラグラフはasパラダイスですね(笑)。
⑧「~なのだけれども」(譲歩)→(補語)+as SVの形で用いる。

3°)関係代名詞:as+不完全文
①As is usual「いつものことだが」の類
②the same A as~「~と同じA」

・His brightest pupil Aristotle thought differently.
(訳)最も聡明な彼の生徒のアリストテレスは違ったふうに考えた。

pupilは「生徒」の意味です。

アリストテレス(B.C. 384-B.C. 322)も古代ギリシャの哲学者です。

・One major point of Aristotle's theory is said to be: (1)while history expresses the particular, concentrating on specific details as they happened, poetry can illuminate the universal, not allowing the accidental to intervene. Hence the justification.
(訳)アリストテレスの理論の重要な点の1つは次のようなことである:歴史は発生した特定の細かいことに注目しながら特定のものを伝えるのに対し、詩は突発的なことが介在するのを許さず、普遍的なことを明るみに出す。それゆえ、詩は正当化されるのだ。

コロンの前が不完全な文章になっているのは不自然というか文法上ややおかしなところがありますが、砕けた言い方なのでしょうか。どちらにせよ、このコロンは先ほど紹介した具体的説明または強調のコロンと解釈できます。それを受けた上での訳出です。

下線部ではwhileが対比を表す語であり、historyとpoetryが対比されています。そのことを踏まえた上で下線部の意味をじっくり検討しましょう。

the+[形容詞]で「(形容詞)なもの,、こと」の意味です。(the particularとthe universalおよびthe accidentalの部分)

更には文末分詞構文が2箇所用いられています。(, concentratingと, not allowingの部分)

・文末分詞構文の主な用法3パターン(SV~,doing…)

①「Sは~し、そして…する。」(連続
②「Sは…しながら~する」(付帯状況
③「Sは~し、それが…する

→主節の後にコンマがあってその後に分詞構文が続く場合にはandを補って2番目の動詞として連続動作として読めます。
→付帯状況の場合はコンマがあることもないこともあります。
→①や②とは違い、分詞構文の主語と主節の主語が一致しない場合には、関係代名詞のwhichを補って読みます。

【注意】
1°)分詞構文から訳す可能性がある場合は以下の2つです。

①人物描写
(例)Tom was talking with Nancy with his arms folded.
「トムは腕を組んでナンシーと話していた。」

②「~を考えて」の類
(例)SV,thinking / hoping / believing / considering that~

2°)分詞構文がどこに修飾するかには注意が必要です。

asは「名詞限定」のasであり京都大学でも過去に何度か出題されていた気がします。よく、as we know itのような形で見るasと同じであり、中身の代名詞部分は訳出しないことに注意したいです。

・名詞限定のas

このasはしばしばas we know itの形で登場します。

関係代名詞と非常によく似ているのですが、その違いから理解しておきましょう。

(例)Language which we know is a human invention.
「私たちが知っている言語は人間が作り出したものだ。」

これを名詞限定のasを用いて書くとこのようになります。

(例)Language as we know it is a human invention.
「私たちが知っている言語は人間が作り出したものだ。」

この2文の違いは①whichがasに代わっていること ②as節の中にitがあることの2点です。asが関係代名詞的な役割をする理由はasの原義が「大体等しい」ことであったことを思い出せば納得できるでしょう。また、as節の中の代名詞のitは訳出しないことには注意しておきたいです。

【注意】

as we knowのように代名詞がない場合様態のasとなり「私たちが知っているように」の意味になります。混同しないように注意しましょう。

(例)Because Judy Garland has existed as a celebrity in this culture, we are aware of the story of her life as it has entered our cultural awareness, becoming a mythic narrative of the unhappiness of the successful.(京都大学)
「ジュディ・ガーランドはこの文化の中で有名人として存在してきたので、私たちは、自分たちの文化的な意識に入り込み、成功者の不幸を語る神話となった彼女の人生の物語を知っているのである。」

→1つ目のasは「~として」の意味、2つ目のasは「名詞限定」の意味で使われています。

interveneはinter「中に」+vene(←venio)「来る」→「介在する」という意味です。後ろの部分はeventと同語源で単語の意味を知ってい場合でも語源から推測できます。また、対比構造が読めていれば「邪魔者として入ってくる」ようなニュアンスが読み取れると思います。

Hence the justificationの部分は難しいです。意味するところをしっかりと訳出する必要があります。Henceをロングマン英英辞典で引いてみると分かるのですが、SV. Hence+[名詞].のとき、直訳すると「SV。(そのことから)[名詞]が生じる」となります。(北村一真先生の英文解体新書p158にも同様の記述がありました。)

直訳だけでは何を言っているかさっぱりなので同じjustificationのような意味を持つ文章がないかな、と探すと下線部(1)の直前にjustifyという単語が見つかります。something offered as fiction could justify itself「フィクションとして書かれたものがそれ自身を正当化しうる」とあります。ここで言う「フィクションとして書かれたもの」は詩のことであり、「自身を正当化する」とは「正当化される」ということです。これらを総合すると、「詩は自身を正当化する→詩は正当化される」となり、うまくいきます。

第2パラグラフはこれで以上です。物語の中でも特にフィクションに触れる機会が多く、フィクションが私たちにとって良いか否かを考えることは何かしら役に立つち、その問いは古代の哲学者の時代にまで遡りました。その中で詩を排除したプラトンと彼の生徒で詩は正当化されると考えたアリストテレスの対立もありました。次のパラグラフではこの問題が現代にまで続いていることから始まります。

第3パラグラフ

・As the debate continues to the present time, researchers in psychology have shown us a new way of dealing with this old problem.
(訳)その議論が現在まで続く中で、心理学の研究者たちは私たちにこの古い問題に対処する新しい方法を示してきた。

第3パラグラフから新しい話題に移りました。今度はどうやら現在の様子を見ていくようですね。

the debate「その議論」及びthis old problem「この古い問題」とは、第2パラグラフで触れたプラトンvsアリストテレスの構造で、フィクションは私たちにとって有益か否かという議論です。

・From various experiments, it emerges that fiction has the power to modify us.
(訳)様々な実験から、フィクションは私たちを変化させる力を持っているということが分かってきた。

ここからフィクションが何か良い影響を持っているという話が展開されていきそうですね。続きを読んでいきましょう。

・Reportedly, (2)"when we read nonfiction, we read with our shields up. We are critical and skeptical. But when we are absorbed in a story, we drop our intellectual guard. We are moved emotionally, and this seems to make us rubbery and easy to shape.”
(訳)報じられているところによると、私たちがノンフィクションを読む時、私たちは盾を構えながら読む。私たちは批判的で懐疑的になるのだ。しかし、私たちが物語に夢中になっている時、私たちは知的な鎧を脱ぎ捨てている。私たちは感情的に心動かされて、そしてこのこと(=感情的に心動かされること)によって私たちは変化に富み、形作られやすくなるのだ。

この部分はJonathan Gottschall(1972-)という文学研究者の方のセリフから引用されています。

reportedlyは文修飾の副詞です。(この英文に文修飾の副詞が多いのでいい勉強になりますね。)

shields upとdrop our intellectual guardは対比関係にある比喩です。警戒心をもつ、もたない(=注意深く読む、読まない)ことを表しています。

with our shields upは付帯状況「~したまま / ~しながら」を表すwith OCの形です。入試では頻出ですね。

We are moved emotionallyの部分は直訳すると「感情的に感動する」となって日本語で言うところの"頭痛が痛い"構文になってしまうので訳出には気を配りたいところです。

rubberyは下線部直後の具体的な内容からも「変化を受けやすい」「変化に富んでいる」ようなニュアンスが読み取れます。(漠然→具体の流れ)意味が分からなくとも文意から推測できる単語でしょう。また、後ろに続くeasy to shapeとも似た意味であることが感じられますね。

あるいは、未知語の推測の④カタカナ語から推測によるとと、日本語でゴムのことはしばしば「ラバー」ということがありますが、ここから連想して、「ゴム」→「弾力性がある」→「変化に富んでいる」としてもよいでしょう。

make us rubbery and easy to shapeはmake OCの形で京大の下線部でmakeが出てきたらこの構文であることがとてもよくあります。

後ろのeasy to shapeの部分の目的語がusなので、この部分はweを主語にしてみると主語と目的語が同じである、いわゆるタフ構文に見えます。(We are made to be easy to shape.)タフ構文は取れる形容詞が決まっていて、その中に形容詞toughがあるのでそう呼ばれているらしいです。この部分に来る形容詞はeasy, difficultあたりをよく見かけます。

また、easy to shapeは前の文のmodify usを言い換えています。

ここでタフ構文について少しだけ話しておきます。

・タフ構文

まずは次の2つの文章を見てみましょう。

・It is easy to solve the problem.
・The problem is easy to solve.

どちらも「その問題を解くのは簡単だ」と訳せますが、後者では他動詞solveの目的語が欠如しています。この目的語がどこにいったかというと主語の位置にあります。

このように、もとの文章の目的語が主語となります

このような構文を取れる形容詞が決まっており、その中の1つにtoughが含まれているため「タフ構文」と呼ばれているのでしょう。他にこの構文を取れる形容詞として、

」を表す英単語:difficult, hard, tough, impossible
」を表す英単語:easy, simple
」を表す英単語:comfortable, pleasant

などが有名です。タフ構文は非常に興味深い構文であり、1冊の中でタフ構文だけを研究した本が出版されているくらいです。笑)

・This might sound rather simplistic, but importantly, researchers are attempting to tell us that reading fiction cultivates empathy.
(訳)このことはやや単純に思われるかもしれないが、研究者たちが私たちにフィクションを読むことによって共感が養われると伝えようと試みていることは重要である。

Thisは前文を受けています。先ほどのmake us rubbery and easy to shapeという部分がcultivates empathyという形で徐々に具体化されてきました。

cultivateは「育む」の意味です。

・When a reader is immersed in the fictional world, she places herself in the position of characters in the narrative, and the repeated practice of this activity sharpens the ability to understand other people.
(訳)読み手がフィクションの世界に夢中になっているとき、読み手は自身を物語の登場人物の立場に置き(=登場人物になりきり)、この行為を繰り返し行うことで他人を理解する能力が鋭敏になる。

be immersed in Aは「Aに夢中になる / 没頭する」の意味です。

places herself in the position of charactersの部分はidentify「同一視する」と似たような意味です。意訳したほうが意味が伝わりやすいかと思います。

the repeated practice of this activityの部分はまず、他動詞の名詞構文であることから元の動詞を含む文章を考えて訳すと自然な日本語になります。この場合だと、to practice this activity repeatedlyとなります。次に、ここは無生物主語なので訳出をこれまた工夫したいところです。「~することで…される」(原因→結果受動態で訳すと綺麗)とするのがここではベストでしょう。

・名詞構文

名詞構文は動詞または形容詞が名詞化して英文の中に組み込まれたものであり、この名詞構文は英語特有の表現です。ですので、直訳してしまうと日本語として不自然になることがしばしばあります。そのため、訳出する際には、名詞を元の動詞または形容詞に戻してから訳すようにしましょう。

他動詞を名詞化する場合、目的語はofまたは所有格で補う。主語もof, byまたは所有格で補う。
→主語のみbyを使用することもあります。特に、名詞の後ろに主語のofと目的語のofの2つが続くと分かりにくいので、その場合は主語のほうがofではなくbyで表されていることが多いです。
→また、他動詞の中にも目的語を示す前置詞の部分にof以外が来る特殊な動詞もあります。(influence / stress on [名詞], answer to [名詞], control over [名詞], demand, love for [名詞]など)

(例)The reduction of inflation must be the government's priority.
「インフレの軽減は、政府が優先してやることにしなければならない。」

→目的語はof以下です。

(例)His acceptance by the dolphin gave him confidence.
「彼はイルカに受け入れてもらったので自信がついた。」

→目的語を所有格で表していることに注意しましょう。主語はby以下で表されています。

(例)I believe that the discovery by computer science of the technical challenges overcome by our everyday mental activity is one of the great revelations of science.(京都大学)
「私は、私たちの日々の頭の活動によって克服される技術上の難題をコンピュータ・サイエンスが発見したことは科学が明らかにした重要なことの1つであると思う。」

→discovery by [主語] of [目的語]とrevelations of [主語]の2つの名詞構文が使用されています。revealは他動詞なのに目的語がない!?と一瞬戸惑うかもしれませんが、revealの目的語はこの文の主語ですよね。目的語をわざわざ書かなくともわかるので書かれていません。

自動詞を名詞化する場合、主語はofまたは所有格で補う。

動詞が取る前置詞はそのまま受け継ぎます。例文を見ておきましょう。

(例)The punctual arrival of airplanes at the airport cannot be guaranteed.
「飛行機が空港に時間通りに到着することは保証できない。」

→主語をof以下で表しています。arrive atのat以下は名詞構文としてしっかり受け継がれていますね。

(例)The star's presence in a film is a promise of what you will see if you go to see the film.
「ある映画にスターがいることは、その映画を見に行った時、見るものがあることを約束する。」

→主語を所有格で表しています。

形容詞を名詞化する場合、主語はofまたは所有格で補う。

(例)Montaigne believed in the superiority of wisdom- knowing what helps us live happily and morally- over mere learning.
「モンテーニュは、知恵、つまり私たちが幸せにかつ道徳的に生活するのを助けてくれるものを知っていることが単なる学問よりも優れていると信じていた。」

→Wisdom is superior to mere learning. が元の文章ですね。

sharpens the ability to understand other peopleの部分は前の文のcultivates empathyの部分を言い換えています。傍線部のrubbery and easy to shapeからどんどん具体化されてきたの見て取れます。

また、sharpenも前の文のcultivateを言い換えています。

・So, nurturing our interpersonal sensitivity in the real world, fiction, especially literary fiction, can shape us for the better.
(訳)それゆえ、私たちの実世界における対人関係での感受性を育みながら、フィクション、その中でも特に文学小説は私たちをより良い方向へ形づくる。

nurtureも「育む」の意味で、前の文のsharpen(←cultivate)を言い換えています。

interpersonal(inter/personal)はinter「中に / 間に」+personal「個人的な」→「個人と個人の中に」→「個人間の / 対人関係の」の意味になります。

文頭にing形が来た時にありえるパターンとしては①ingの部分が動名詞となり主語 ②文頭分詞構文 ③CVS(←SVC)の倒置の3パターンがメジャーでしょう。特に②のものは後ろに[主語]+[動詞]と続くため他2つと見分けがつきやすいです。本問も②の文頭分詞構文で解釈することになります。

③はLying on the table was my cat.(←my cat was lying on the sofa.)「テーブルの上で寝転がっていたのは私の猫だった。」のようなものを例文と考えると分かりやすいでしょうか。

それでは、本題である文頭分詞構文について見ておきましょう。

・文頭分詞構文の主な用法5パターン
理由
(例)Not knowing what to do, I asked you for help.
「どうしたらよいか分からなかったので、僕は君に助けを求めた。」

→否定の分詞構文は理由であることが多いです。


例)Walking around the city, I met him.
「その街をぶらぶら歩いているとき、私は彼に会った。」

→whenと置き換えが可能です。

付帯状況
(例)Looking back many times, he went away.
「何度も振り返りながら、彼は去っていった。」
完了分詞構文
(例)Having finished the work, I went to drink with her.
「仕事が終わったので/仕事が終わってから、私は彼女と飲みに行った。」

→分詞の表す時が述語動詞よりも前の時の場合、having+(過去分詞)の形になります。

独立分詞構文
(例)Night coming on, the children went home.
「夜になったので、子供たちは家に帰った。」

→分詞の意味上の主語が主節の主語と異なる場合、分詞の前に主語が補われます。

本問の場合①の理由または③の付帯状況で解釈するのが適切でしょう。(訳例では③の付帯状況で訳出しました。)

最後のshape us for the betterの部分は前の文のsharpens the ability to understand other peopleという部分を受けています。この部分は大元を辿ればrubbery and easy to shapeでした。ここまで読めばrubberyの意味も比較的容易に推測できるのではないでしょうか。このように、未知語の類推では漠然→具体の文章展開と対比・言い換えを利用するとうまくいくことが英語の性質上多いです。

このように日本語では同じ意味でも、英語では次々に表現が変化していくことが分かりましたでしょうか?(「英文精読へのアプローチ」という本では「表現リレー」として言及されています。)

本問でいうと、modify us→ makes us rubbery and easy to shape→ cultivates empathy(具体化)→ sharpens the ability to understand other people → nurturing our interpersonal sensitivityという言い換え(+具体化)が為されていました。

仮にどこかの単語、例えばempathyが分からないとしましょう。その場合でも直後でthe ability to understand other peopleと言い換えられれいるので推測することができますね。

以上、第3パラグラフでは第2パラグラフの問いが現代まで続き、心理学の立場からすると、フィクションによって私たちは変化しやすなり、その結果対人関係における感受性が養われる、ということが述べられていました。第4パラグラフではフィクションが良い影響を与える、という部分についてさらに深堀りしていきます。

第4パラグラフ

・Although this is not exactly news, it is surely comforting to have scientific support for the importance of fiction.
(訳)これは必ずしも新しい事柄ではないのだけれども、確かに、フィクションが重要であることに対する科学的根拠をもっておくことでほっとする。

thisは第3パラグラフ最終文の内容「フィクションは私たちをより良い方向へ形づくる」ということを受けています。

第3パラグラフ冒頭に、

・researchers in psychology have shown us a new way of dealing with this old problem「心理学の研究者たちは私たちにこの古い問題に対処する新しい方法を示してきた。」
・From various experiments, it emerges that fiction has the power to modify us「様々な実験から、フィクションは私たちを変化させる力を持っているということが分かってきた。」

とありました。第4パラグラフ第1文のscientific support for the importance of fiction「フィクションが重要であることに対する科学的根拠」というのはこの部分に対応しています。

this is not exactly news「これは必ずしも新しい事柄ではないのだけれども」と言っているのは、第3パラグラフで心理学的に考えてフィクションが他者理解において重要であるということに関して、心理学によってそう考えられ始める前からも、フィクションが他者理解において重要であるということが考えられていた、というのが1つの個人的な説です。(実際ここは心理学の歴史を遡ってみないと妥当かどうか判断できません。)

そうすると、元々はフィクションが他者理解において重要である、と科学的な証拠なしに考えられていたのだけれども、心理学的な裏付けによってほっとする、となり内容は繋がります。(正直、この部分の解釈が一番悩んだかもしれません…(汗))

surelyを文修飾の副詞と捉えるかcomfortingにかかる語修飾の副詞と捉えるかに関してですが、surelyが次の文のNeverthelessと呼応することも考慮すれば文修飾の副詞として捉えるほうが良いでしょう。

・Nevertheless, a careful distinction is in order here.
(訳)それでもやはり、慎重な区別が必要である。

a careful distinction「慎重な区別」という新たな抽象的な概念が登場しました。以下で具体化されるはずなので続けて読んでいきましょう。

in orderはここでは「必要である」の意味です。難しい熟語ですが、訳語の知識がなくとも文脈から推測したいところです。

・It may be true that fiction actually makes one behave with better understanding towards the people around one.
(訳)フィクションによって自分の身の回りの人々をより良く理解して行動するようになるということは正しいのかもしれない。

形式主語のitとその中身に対応するthat節を含む1文です。makes one behaveはおなじみのmake OCの形です。

withは「~をもって」の意味であり、分詞構文のhavingと代用できるようなイメージです。

towardはunderstandingにかかっています。

oneは一般論の主語なので無理に訳出する必要はないでしょう。訳すにしても「人」くらいでしょうか。

・Empathy, however, does not necessarily lead to social good.
(訳)しかし、共感は必ずしも社交上の利益に結びつくとは限らない。

ここの2文では(譲歩のmay)+(否定のhowever)という構造になっており、筆者が主張したいのは後者です。ここでは共感→社交的利益とは一口にはいかないよ、ということが大事なのですね。

なお、socialは文脈上「社交上の」と訳出しましたが「社会的」と訳したとしても問題はないでしょう。

・A recent article on the topic points out: “Some of the most empathetic people you will ever meet are businesspeople and lawyers.
(訳)その話題に関する最近の記事が次のように指摘している。「これから会う、最も共感性の高い人の中にはビジネスマンや弁護士がいるだろう。
・They can grasp another person's feelings in an instant, act on them, and clinch a deal or win a trial.
(訳)彼らは他の人が何を思っているかを一瞬で理解し、それらに基づいて行動し、取引を締結させたり裁判に勝利したりする。

act on「~に基づいて行動する」は過去に京大で出題されています。

themはanother person's feelingを受けています。間違って「彼ら」と訳さないように注意したいです。

・The result may well leave the person on the other side feeling anguished or defeated.
(訳)その結果、たぶん相手側の人は苦しんだり、敗北感を味わったりすることになるだろう。

may wellは「たぶん~だろう」の意味です。

the person on the other sideは直訳すると「反対側の人」ですが「相手」の意です。英作文でもよく使う表現なので覚えておくと便利です。

leave O Vingで「OをVしたままの状態にする」の意味です。

anguishedは「苦しむ」で、語源的にはangry等と同じですが推測するのも難しそうです。ちなみにishはdiminishのishと同じで動詞化する語尾です。(何かしら−イメージなのは読み取れます。)

ここまで3文ではビジネスマンや弁護士の例が登場しましたが、彼らは「共感能力が高く、相手の感情を理解でき、それに基づいて行動できる」人なのです。ここを抑えておきましょう。以下で対比されていきます。

・Conversely, we have all known bookish, introverted people who are not good at puzzling out other people, or, if they are, lack the ability to act on what they have grasped about the other person.” (Here bookish people are, we are meant to understand, keen readers of fiction.)
(訳)反対に、私たちは皆、他者を理解することに長けていなかったり、たとえ長けていたとしても、他者について理解したことに基づいて行動する能力が欠けていたりする、フィクション好きで自分のことばかり考える人を知っている。」(ここでフィクション好きな人とは、フィクションを熱心に読む人であると理解されたい。)

introverted(intro/verted)はintro「中へ」+ vert「向ける」→「自分自身の方に向いている」→「内向的な」という意味です。

puzzle out「推し量る / 理解する」は文脈上understandと似た意味であることが分かるでしょう。そうでなくとも、「パズルを解く感じ」→「相手の気持ちのパズルを解く」→「相手の気持ちを理解する」とも推測できます。

ビジネスマンと弁護士の具体例が述べられておりclinch a deal「取引をまとめる」win a trial「裁判に勝つ」が傍線部あります。dealが「取引」の意味を持つことが分かっていれば、clinchは文脈上、相手の気持ちも理解できた上での結果になるので何か+イメージだなあと感じ、この部分をまとめて「取引をまとめる」とできます。

clinchはカタカナ語にもなっており格闘技において相手の体に抱きついたり、体の一部を掴んで相手の動きや攻撃を止める技術です。もし今年の京大受験生の中で格闘技愛好家の方がいた場合、格闘技のクリンチのイメージから「取引を抱く」→「取引を自分のものにする」→「取引を締結する」と訳せますね!(一人くらいこのような連想をした方もいるのではないでしょうか笑)

bookishの-ishはchildishと同じで「~のような(−イメージ)」です。この単語は下線部直後でも具体的に説明されていますが、「本好き」という意味でも本が好きすぎるあまり、本の(フィクションの)世界にのめり込んでいってしまっているような印象を受けました。

if they areの省略はきちんと復元することが求められています。復元すると、even if they are good at puzzling out other peopleとなります。even ifのevenは省略されることがしばしばありますので、ifを見た時にeven ifの可能性を常に検討し、文脈から判断しましょう。

be meant to doは「~することになっている / ~しなければならない」の意味です。読者に呼びかけている感じで訳出しておきました。

・Empathetic understanding and sympathetic action are different matters — how and why they are so, in connection with reading fiction, will be further explored by future research, we hope.
(訳)共感的理解と共感的行動は別物である。ーフィクションを読むことと関係して、どのように、そしてなぜそうなるのかということがこれからの研究によってさらに解明されていくことを私たちは期待している。

さきほどa careful distinction is in order here「慎重な区別が必要だ」と言っていた意味がようやく分かります。a careful distinction→ different mattersと言い換えられています。つまり、Empathetic understanding「共感的理解」とsympathetic action「共感的行動」は別物なのです。このことに言及する具体例がここまでで述べられていましたね。

empathyとsympathyは英英辞典で定義を確認すると微妙にニュアンスが異なりますが、とりあえず「共感的な」で訳出しています。

soは直前のEmpathetic understanding and sympathetic action are different matters「共感的理解と共感的行動は別物である」という内容を受けています。その事実は分かっていてもメカニズムが分からないのですね。

最後まで読み進めていくとwe hopeの後に本来来るはずの目的語がないので何かがおかしいと気づきます。

ダッシュ(ー)以降の文では倒置が生じており、元の文に直すとwe hope (that) how and why they are so, in connection with reading fiction, will be further explored by future research.となります。つまり、SVOのO(目的語)が前に倒置された形になります

なぜ筆者は文の締めくくりとしてwe hopeを文末に置いて強調したのでしょうか?目的語にあたる部分は(どちらかといえば)旧情報なので(←特にsoは直前を受けている)、(どちらかといえば)新情報であるwe hopeの部分を後ろに持ってきて倒置するのにも納得はいきます。筆者がフィクションと共感的理解・共感的行動の関係が解明されていくことに対して期待されている強い気持ちが伝わってきます。(このような締めくくり自体よく見ます。)

そもそもOSVの倒置が生じる時には目的語部分が何かしら他の内容と対比されることも多く、「共感的理解と共感(同情)的行動は別物である」という事実分かっているのだけれども、「どのように、そしてなぜそうなるのか」分からないという内容も感じ取れます。

解答を書く

1°)京大の解答用紙のサイズでは、一行あたり25~30文字書くのが目安です。(決して、全ての行を埋める必要はないです。)

2°)内容説明は、下線部自体への言及該当箇所の特定該当部分を和訳し、内容を適切な言葉を補ってつなげる、が基本的な方針です。(本質的には和訳問題と変わらないです。)

和訳問題に関しましては全文読解の際に解説していますので、ここでは各大問の要点と解答のみとさせていただきます。

下線部(1)

asはいわゆる「名詞限定」のasであり京都大学でも過去に何度か出題されていた気がします。よく、as we know itのような形で見るasと同じであり、中身の代名詞部分は訳出しないことに注意したいです。

interveneはinter「中に」+vene(←venio)「来る」→「介在する」という意味です。後ろの部分はeventと同語源で単語の意味を知ってい場合でも語源から推測できます。また、対比構造が読めていれば「邪魔者として入ってくる」ようなニュアンスが読み取れると思います。

Hence the justificationの部分は難しいです。意味するところをしっかりと訳出する必要があります。Henceをロングマン英英辞典で引いてみると分かるのですが、SV. Hence+[名詞].のとき、直訳すると「SV。(そのことから)[名詞]が生じる」となります。(北村一真先生の英文解体新書p158にも同様の記述がありました。)

これだけでは何を言っているかさっぱりなので同じjustificationのような意味を持つ文章がないかな、と探すと下線部(1)の直前にjustifyという単語が見つかり、もしや!と思い読んでみると「詩は自身を正当化する→詩は正当化される」となり、うまくいきます。

(解答)
歴史は発生した特定の細かいことに注目しながら特定のものを伝えるのに対し、詩は突発的なことが介在するのを許さず、普遍的なことを明るみに出す。それゆえ、詩は正当化されるのだ。
(ポイント)
・文末分詞構文の訳出, whileによる対比, 名詞限定のas, the+[形容詞]の訳出, Hence+[名詞]の解釈

下線部(2)

shields upとdrop our intellectual guardは対比関係にある比喩です。警戒心をもつ、もたない(=注意深く読む、読まない)ことを表しています。

rubberyは下線部直後の具体的な内容からも「変化を受けやすい」「変化に富んでいる」ようなニュアンスが読み取れます。(漠然→具体の流れ)

あるいは、日本語でゴムのことはしばしば「ラバー」ということがありますが、ここから連想して、「ゴム」→「弾力性がある」→「変化に富んでいる」としてもよいでしょう。

make us rubbery and easy to shapeはmake OCの形で京大の下線部でmakeが出てきたらこの構文であることがとてもよくあります。

余談ですが、そもそも京大の英文和訳問題は二重目的語が大好きで、直近3年間を見てもdeclare OC「OがCであると宣言する」、afford OC「OにCを与える」などが下線部で問われています。自分は2020年度入試で「今年もちょっとマイナーな二重目的語が来るはずだ」と踏んで挑みましたが、結果出題はありませんでした…(泣)

後ろのeasy to shapeの部分の目的語がusなので、この部分はweを主語にしてみると主語と目的語が同じである、いわゆるタフ構文に見えます。(We are made to be easy to shape.)タフ構文は取れる形容詞が決まっていて、その中に形容詞toughがあるのでそう呼ばれているらしいです。この部分に来る形容詞はeasy, difficultあたりをよく見かけます。

(解答)
私たちがノンフィクションを読む時、私たちは盾を構えながら読む。私たちは批判的で懐疑的になるのだ。しかし、私たちが物語に夢中になっている時、私たちは知的な鎧を脱ぎ捨てている。私たちは感情的に心動かされて、そしてこのことによって私たちは変化に富み、形作られやすくなるのだ。
(ポイント)
付帯状況のwith OC, 比喩の部分の対比と訳出, are moved emotionallyのうまい訳出, make OCの形, 無生物主語, rubberyの意味

下線部(3)

the person on the other sideは「相手」の意です。英作文でもよく使う表現なので覚えておくと便利です。

act on「~に基づいて行動する」は過去に京大で出題されています。

ビジネスマンと弁護士の具体例が述べられておりclinch a deal「取引をまとめる」win a trial「裁判に勝つ」が傍線部あります。dealが「取引」の意味を持つことが分かっていればclinchは文脈上、相手の気持ちも理解できた上での結果になるので何か+イメージだなあと感じ、この部分をまとめて「取引をまとめる」とできます。(やはりこの部分は非常に難しいです。)

anguishedは「苦しむ」で、語源的にはangry等と同じですが推測するのも難しそうです。ちなみにishはdiminishのishと同じで動詞化する語尾です。(何かしら−イメージなのは読み取れます。)

bookishの-ishはchildishと同じで「~のような(−イメージ)」です。この単語は下線部直後でも具体的に説明されていますが、「本好き」という意味でも本が好きすぎるあまり、本の(フィクションの)世界にのめり込んでいってしまっているような印象を受けました。

introvertedはintro「中へ」+ vert「向ける」→「自分自身の方に向いている」→「内向的な」という意味です。

あとはif they areの省略をきちんと復元することが求められています。復元すると、even if they are good at puzzling out other peopleとなります。

(解答)
彼らは他の人が何を思っているかを一瞬で理解し、それらに基づいて行動し、取引を締結させたり裁判に勝利したりする。その結果、たぶん相手側の人は苦しんだり、敗北感を味わったりすることになるだろう。反対に、私たちは皆、他者を理解することに長けていなかったり、たとえ長けていたとしても、他者について理解したことに基づいて行動する能力が欠けていたりする、フィクション好きで自分のことばかり考える人を知っている。
(ポイント)
act onの意味, clinch a dealとwin a trialの意味(具体例を理解できているか), may wellの意味, leave OCの形, introvertedの意味, if they areの省略の復元

あとがき

最後まで閲覧していただきありがとうございました。大問2の解説も順次作成します。しばしお待ちください。

なお、本問の解答をTwitterのDMで送信していただければ無料で添削いたします。(Twitter:@SacramyOfficial

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全体的な詳しい分析はこちらの記事からご覧になることができます。まだ読んでいない方はぜひご覧ください!

参考文献

京都大学令和3年度入学試験問題 外国語 英語

筆者の紹介

櫻田 侑也(さくらだ ゆうや) 京都大学理学部2回生

英語が嫌いという理由で朝のホームルームに英会話がある西京中学ではなく、洛北高校附属中学校を目指し、洛北高校附属中学校中高一貫)に補欠合格。模試は高1から全てA判定を出し、高2では駿台全国模試の英語・数学の偏差値80越え。高3では夏の京大模試で経済学部理系で4回連続1位を取り、秋は全て理学部で冊子掲載。英語に関しては駿台で竹岡先生の高3エクストラ英語αで学び、京大模試で全国15位以内を7回取る安定した成績を収めた。
(以下、全国15位以内の模試のみ成績を添付)

京大模試

第1回京大入試プレ 117/150,11位 (74.9)
第1回京大オープン 120/150,6位 (76.5)
第1回京大実戦 113/150,13位 (77.0)
第2回京大オープン 120/150,10位 (76.2)
第2回京大入試プレ 114/150,6位 (70.8)
第4回Z会京大テストゼミ 124/150,1位 (67.5)
第3回京大本番レベル模試 136/150,1位 (70.4)

その他模試

東工大入試実戦模試 113/150,5位 (82.5)
河合塾京大本番プレテスト 121/150 など

※素点と全国順位を記載,()内は偏差値

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数物)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

-大学受験, 英語
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