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【全国模試1位に学ぶ英語】令和3年度 京大英語2021 分析 -全文解説のリンクあり-

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目次

  1. まえがき
  2. 大問1
  3. 大問2
  4. 大問3
  5. 大問4
  6. あとがき
  7. 筆者の紹介

まえがき

こんにちは。本記事では2021年度京都大学の英語の入試問題の全体的な様子を見ながら、問題の分析をしようと思います。また、大問1、2に関しては別記事にて全英文解釈も用意しています。合わせてご覧ください。いわゆる「解答速報」とはまた違うものになりますがよろしくお願いします。

いきなりですが、少し雑談です。

自分は京大英語には割と愛着があって、高2の夏の初めから週に何回か学校帰りに大垣書店で赤本を立ち読みして下線部和訳問題を解いていました。そして高2の10月に「もう買ってしまおう!」ということで遂に思い切って赤本を購入し過去問を解き始めました。高3の夏休みに入る前に25ヵ年は一通り終わってしまったので、そこからは駿台京都校の寄贈赤本全国入試問題正解で見つけた古い問題各予備校の模試の過去問をひたすら解いていました。その結果、気付けば大学入試までに、

京大英語の過去問:前期40年分、後期3年分

京大実戦10回分、京大オープン12回分

を解いていました。京大模試のほうでも高2から京大実戦を受験し、高3では京大模試の英語で全国1位を取れるまでひたすら頑張っていました。問題演習の中で過去問研究もかなりしていたので京大英語にはそれなりの思い入れがあったりします。

さて、本題に戻りますが、まずはじめに、今年の京大の英語は難化しているようです。予備校の分析もそうですし、自分がTwitter上で独自に行ったアンケートでも約70パーセントの方が難化したと答えていました。個人的な所感でいうと、大問1,3,4は平年並みですが、大問2だけが非常に難しく、古き良き1990年代~2000年代前半に戻った感じでしょうか。また、予備校の解答速報を見ても大問2(b)のWhy not?の解釈なんかは全滅しています。この点は後で詳しく言及しますが、どうやら難しかったみたいですね。

これだけにとどまらず、他にも今年の京大英語には見どころがあって、激アツです。この大問2の文章はジョージ・ヘンリー・ルイスという方がダーウィンの種の起源を評価し、その中で一般大衆がダーウィンの進化論に対してどのように反応したか、ということを述べた部分が、第2~第5パラグラフに渡って引用されているのですが、この引用元の原文がなんと1868年に書かれた文章なのです!19世紀です。もう150年も前のことなのです。ジョージ・ヘンリー・ルイスという方も調べれば調べるほど興味深いので後で語ることにします。

英作文のほうも大問3では京大が大好きな慣用句を出題してきました。今回は「転ばぬ先の杖」でしたね。前回は2017年の大問3で「生兵法は大怪我のもと」が出題されていました。この部分をどう処理するかということから、京大英語らしさの一端が覗われます。

さらに大問4の自由英作文では2016,2017,2018年度と3年間にわたって出題されていた会話文を埋める形式の自由英作文が復活しました。今年度のものは2018年度のものと同じ毛色の問題ですね。Hasty Generalization「早まった一般化」という誤謬が主題となっています。この誤謬も面白いので後で触れます。

それでは、各大問ごとに掘り下げていきましょう!

大問1

大問1では2014年以前の英文和訳問題のみの構成に戻りました。大問2に比べて印象が薄いですが、「フィクションの効用」について語られた文章です。京大の英語は去年も人文科学系の文章が1問自然科学の文章が1問の構成になっていましたね。全英文解釈を含む解説記事は後々投稿するとして、まずは各パラグラフの主張と下線部和訳のポイントだけ軽く見ておくことにしましょう。

パラグラフごとの要旨

※パラグラフの青字の部分を押すことで各パラグラフ冒頭に飛ぶことができます。

1パラ物語を話す・伝えるというようなことは身の回りにありふれている。

2パラ物語の中でも特にフィクションに触れる機会が多く、フィクションが私たちにとって良いか否かを考えることは何かしら役に立つだろう。その問いは古代の哲学者の時代にまで遡る。→(例)プラトン(詩を排斥)vsアリストテレス(詩は正当化される)

3パラこの問は現代まで続き、心理学の立場からすると、フィクションによって私たちは変化しやすなり、その結果対人関係における感受性が養われる。

4パラ他人の感情を理解できることと、それに基づいた同情的な行動とは別問題である→この問題については、フィクションを読むこととの関係を踏まえて今後解明されることを望む。

下線部(1)

asはいわゆる「名詞限定」のasであり京都大学でも過去に何度か出題されていた気がします。よく、as we know itのような形で見るasと同じであり、中身の代名詞部分は訳出しないことに注意したいです。

interveneはinter「中に」+vene(←venio)「来る」→「介在する」という意味です。後ろの部分はeventと同語源で単語の意味を知ってい場合でも語源から推測できます。また、対比構造が読めていれば「邪魔者として入ってくる」ようなニュアンスが読み取れると思います。

Hence the justificationの部分は難しいです。意味するところをしっかりと訳出する必要があります。Henceをロングマン英英辞典で引いてみると分かるのですが、SV. Hence+[名詞].のとき、直訳すると「SV。(そのことから)[名詞]が生じる」となります。

これだけでは何を言っているかさっぱりなので同じjustificationのような意味を持つ文章がないかな、と探すと下線部(1)の直前にjustifyという単語が見つかり、もしや!と思い読んでみると「詩は自身を正当化する→詩は正当化される」となり、うまくいきます。

下線部(2)

shields upとdrop our intellectual guardは対比関係にある比喩です。警戒心をもつ、もたない(=注意深く読む、読まない)ことを表しています。

rubberyは下線部直後の具体的な内容からも「変化を受けやすい」「変化に富んでいる」ようなニュアンスが読み取れます。(漠然→具体の流れ)

あるいは、日本語でゴムのことはしばしば「ラバー」ということがありますが、ここから連想して、「ゴム」→「弾力性がある」→「変化に富んでいる」としてもよいでしょう。

make us rubbery and easy to shapeはmake OCの形で京大の下線部でmakeが出てきたらこの構文であることがとてもよくあります。

余談ですが、そもそも京大の英文和訳問題は第4文型や第5文型が大好きで、直近3年間を見てもdeclare OC「OがCであると宣言する」、afford OO'「OにO'を与える」などが下線部で問われています。自分は2020年度入試で「今年もちょっとマイナーな第4文型や第5文型が来るはずだ」と踏んで挑みましたが、結果出題はありませんでした…(泣)

後ろのeasy to shapeの部分の目的語がusなので、この部分はweを主語にしてみると主語と目的語が同じである、いわゆるタフ構文に見えます。(We are made to be easy to shape.)タフ構文は取れる形容詞が決まっていて、その中に形容詞toughがあるのでそう呼ばれているらしいです。この部分に来る形容詞はeasy, difficultあたりをよく見かけます。

下線部(3)

the person on the other sideは「相手」の意です。英作文でもよく使う表現なので覚えておくと便利です。

act on「~に基づいて行動する」は過去に京大で出題されています。

ビジネスマンと弁護士の具体例が述べられておりclinch a deal「取引をまとめる」win a trial「裁判に勝つ」が傍線部あります。dealが「取引」の意味を持つことが分かっていればclinchは文脈上、相手の気持ちも理解できた上での結果になるので何か+イメージだなあと感じ、この部分をまとめて「取引をまとめる」とできます。(やはりこの部分は非常に難しいです。)

anguishedは「苦しむ」で、語源的にはangry等と同じですが推測するのも難しそうです。ちなみにishはdiminishのishと同じで動詞化する語尾です。(何かしら−イメージなのは読み取れます。)

bookishの-ishはchildishと同じで「~のような(−イメージ)」です。この単語は下線部直後でも具体的に説明されていますが、「本好き」という意味でも本が好きすぎるあまり、本の(フィクションの)世界にのめり込んでいってしまっているような印象を受けました。

introvertedはintro「中へ」+ vert「向ける」→「自分自身の方に向いている」→「内向的な」という意味です。

あとはif they areの省略をきちんと復元することが求められています。復元すると、even if they are good at puzzling out other peopleとなります。

更に詳しい全文解説はこちらから→【全国模試1位に学ぶ英語】令和3年度 京大英語2021 大問1解説 | Sacramy

大問2

大問2ではなんと引用部分は1868年の英文が原文となっており、しかもその原文はオンライン上で誰でも閲覧できます。まずこの点がアツいです。

原文の出典:Lewes, G. H. 1868. Mr. Darwin's hypotheses. Fortnightly Review n.s. 3 (April, June); 353-73, 611-28, 4 (July), (November): 61-80, 492-509. (darwin-online.org.uk)

さらには、引用部分の著者のジョージ・ヘンリー・ルイスという方もアツいです。

George Henry Lewes, (born April 18, 1817, London, Eng.—died Nov. 28, 1878, London), English biographer, literary critic, dramatist, novelist, philosopher, actor, scientist, and editor, remembered chiefly for his decades-long liaison with the novelist Mary Ann Evans (better known by her pseudonym, George Eliot).

A versatile writer and thinker in many fields, Lewes contributed significantly to the development of empirical metaphysics; his treatment of mental phenomena as related to social and historical conditions was a major advance in psychological thought.

George Henry Lewes | English philosopher, actor, and scientist | Britannica

このページに彼の紹介がありますが、非常に幅広い分野で活躍した方であることが読み取れます。empirical metaphysicsのmetapyhisicsはご存じの方も多いように、「形而上学」の意味です。本問の引用部分中に一元論や二元論のお話が出て来ましたが、これらは形而上学上の命題みたいですね。さらには、本文中にもあるように、彼はダーウィンの考え方にたしする評価も、ダーウィン本人が絶賛するほど素晴らしいものでした。(語り出すと語り切れないのでここら辺で止めておきましょう。)

さて、本問はは内容説明問題+英文和訳問題という近年の京大らしい構成になっています。この問題は読みごたえがあって、和訳箇所の文法要素もかなり難解であり、非常に難しい文章だと思います。

パラグラフごとの要旨

※パラグラフの青字の部分を押すことで各パラグラフ冒頭に飛ぶことができます。

1パラダーウィンの考え方に対するジョージ・ヘンリー・ルイス反応は素晴らしい。→以下で説明していこう。

2パラ(引用はじめ)種の起源は非常に強い影響力をもった。→2つの相反する考え方が根底にあるのだが、それらは一体何なのだろうか?

3パラ全ての生物は共通の祖先から進化したとするダーウィン的な考え方は歴史を遡ると直感的に捉えたものが多い。また、一元論となじむため、存続してきた。その過程でダーウィンの考え方の是非は一元論か二元論の立場から論じられることが多かった。

4パラ一般の人々が専門的な知識がなくとも、一元論と二元論の立場から簡単に、自身満々に自然淘汰が正しいか否かを判断していた。→生物学者はブチ切れた。(→下線部(b))

5パラ(引用おわり)種の起源は一元論から帰結されるものであり、一元論と二元論の戦いの場となるだろう。→ルイスは一元論側の勝利(≒ダーウィンの考え方が正しいこと)を確信している。

6パラ現代の科学の立場からすると彼の考え方は時代遅れかもしれないが、それでもやはり彼は素晴らしい作家である。

(1)内容説明問題

よく言われているように、京大の内容説明問題は、該当箇所を見つけて和訳+傍線部に対する言及の2ステップで解ける、所詮和訳問題です。「『種の起源』が大きな影響力を持った要因としてLewesが最重要視しているものを」とあるので、何か原因について比較している部分がないかな、と探していくと、less due to the fact…than to the fact…とあるので、まさにここだ!となります。

あとはこの部分を和訳していけばよいわけですが、難しい単語といえばchime「調和する / 一致する など」でしょうか。この単語は知らなくとも、clashとchimeが対比されていることから、「反発することの逆」→「調和する」と推測することができます。また、chimeは第4パラグラフの最終文にも登場しているので、そちらから推測しても良いかもしれません。

(2)下線部(a)

下線部を読んでいくとギリシャの時代からダーウィンの進化論を示唆するような考え方があったことが読み取れますが、これは哲学者エンペドクレスが最初の提唱者みたいです。

indications ofの名詞構文の処理やtruthにかかる、ハイフンで結ばれた2つのthat節、onlyと似た意味のbut、さらにはof the truthの修飾先(←諸説あり)など解釈上また日本語表現上、非常に難しい部分が多いです。

【参考】
【完全版】of=「~の」としていませんか? 名詞構文の解釈3パターン -17の例文で徹底解説- | Sacramy

単語レベルで難しいものはmanifestationです。(一応、鉄壁には載っている単語です。)「明白な」→「はっきりと現れてくるもの、発現するもの」くらいのイメージで捉えてあげれば上手く訳せます。

この設問では単語能力よりもむしろ、英文解釈力と堪能な日本語表現能力が問われている印象を受けました。

(3)下線部(b)

文脈としては、一般大衆が専門的な知識もないのに、自然淘汰という考え方の是非をいとも簡単に判断するものだから、生物学者はブチ切れた(←ここまでは言い過ぎかもしれませんね笑)という前提です。これを前提にしておくと、下線部は理解しやすくなるかと思います。Thisが前パラグラフ最終文を受けていることも頭に入れておくと、理解がスムーズにいくと思います。

最初にotherwiseの解釈があります。今回は「その他の方法で」の意味で登場しています。

【参考】
【完全版】otherwiseの解釈4パターン -語源と14の例文で全パターン徹底解説!- | Sacramy

, the surprising easeの部分のコンマは同格のコンマであり(本来は挿入ですが意味上同格です)、京大は同格のコンマが大好きです。英文を読んでいて直感的に「あれ、この部分文法的におかしくない?コンマの後に名詞が来てるぞ!」と思った場合、京大の場合特に同格のコンマであることが過去問を解いていて多いです。

refuteも難しい単語ですが、直前のadoptとの対比あるいは、文脈から推測することができますね。

さて、次の部分が物議を醸している部分ですが、Why not?関連の部分です。こちらは、Why elementary ignorance of biology has not prevented them from pronouncing very confidently on this question?の省略と考えるのが妥当ではないか、と自分の中で結論に至りました。

各予備校の解答速報を見ていくと、駿台:「なぜそのようにならなかったのだろう。河合塾:「なぜ、そうしないのか。」と内容がぼかされています。(Why not?の省略を復元しないことで減点を喰らうかどうかは分かりませんが…。)

代ゼミ:「もちろん攻撃するだろう。」とありますが、これは直前の文のほうの主語・動詞が省略されていると読んだ解釈になります。(反語疑問のような訳出にもなっていて、一見うまい訳に見えますよね。)

しかし、直前の文章は生物学者が「お前ら一般大衆は専門的な知識もないのに自然淘汰の考え方を一元論とか二元論とかいう概念でいとも簡単に正しいか否か論じているけど、同じこと(=専門的な知識もないのに天文学の仮説の是非を論じること)を天文学でもできるん?」と考えている、という文章であり、直後の文章でも、一般大衆が自然淘汰の考え方を一元論と二元論に即していとも簡単にその是非を判断できたことが述べられているので、文脈のつながりとしても代ゼミの訳だと不自然になってしまいます。とにかく、文脈との整合性が取れるか、というところが大事です。

さて、残った東進:「知らないのにどうして自身をもって自説を述べることなどできたのだろうか?」とあり、Why not?の省略をうまく訳出できているのですが、直前のwith no better equipmentの部分の解釈が個人的には不自然だと感じました。

この部分は直前のElementary ignorance of biologyと同じくらい(専門的な)知識が欠如していることをいわゆるクジラ構文を用いて表現しており、省略を復元すると、with no better equipment than they pronounced very confidently on this question with(←まだ諸説あり)だと考えています。それなのに、東進:「天文学者以上に知識をもたない」とあり、天文学者!?、一体どこから出てきたの!?となります。

あと、セミコロンがandの前に置かれていますが、このセミコロンは文章の切れ目を明確にしているだけであり、特別な意味はないようです。

更に詳しい全文解説はこちらから→【全国模試1位に学ぶ英語】令和3年度 京大英語2021 大問2解説 | Sacramy

参考文献

1°)北村一真先生のツイート

2°)はてなブログ:「英文解剖学」で示されている見解

こちらのブログでも詳しく下線部(b)について言及されており、予備校に対する批判もなされています。

大問3

大問3は毎年相変わらずの和文英訳問題です。冒頭でも触れましたが、京大でおなじみの慣用句が出題されていますね。この部分以外にも注目すべき点が色々とあるので順に見ていきましょう。

「転ばぬ先の杖」

「転ばぬ先の杖」とは「前もって用心していれば失敗することはないというたとえ」であると書かれています。(大辞林)正確な意味を知らなくともなんとなく、「予め準備しておけば大丈夫やろ」みたいなイメージはあったと思います。

例えば、「問題が起きる前にその問題について考えておく」とか「失敗しないように気を付ける」、「これから起こることに対して備えておく」などと解釈すれば安全な表現で対処することができて、

to think about problems before they happen / to be careful not to make a mistake / to prepare (yourself) for what will happen in the future

などと書けます。2017年度の生兵法は大怪我のもと」よりかは目にする機会が何かと多い慣用句であると思いますので、この部分をうまく切り抜けられた方も多いと思います。

「痛い目を見る」

予備校の解答速報を見てみると、fail painfully(駿台)、suffer a terrible experience(河合塾[解答例1])などとありますがこれらは受験生が到底書けるようなレベルのコロケーションではありません。

experienceを用いてもよいのですが、可算・不可算の区別がやっかいです。ロングマン英英辞典でいうところの①経験内容(経験から得た知識・能力・技術)の意味であれば不可算名詞になり、②その人に何かしらの影響を及ぼす具体的な経験であれば可算名詞になります。(実際問題ここまで厳しく採点されているのかは知りませんが…。)

これは私的な見解ですが、experienceを用いるのであれば今回は②のほうが適切でしょうか。とするのであれば、

have a [painful / terrible] experience

などと書けます。(ちなみに、河合塾[解答例2]のexperienceは不可算名詞で用いられていました。)

まあこんな危険なチャレンジに出なくとも、英作文で何かマイナスイメージの事柄が出てきた場合大抵はproblemで対処することができ、

have a serious problem

くらいで逃げても大丈夫かと思います。(troubleのほうはこれまた可算か不可算かの区別がややこしくあまり英作文では用いたくありません。)

「人としての円熟味が増す」

個人的にはこの部分が一番処理に困りました。もちろん直訳して、

grow as a person / became more mature as a person

などと表現もできますが、「円熟味を増す」→「(知識・技術などが)十分に熟達する」と考えて

learn a lot of things

と訳してもよいでしょう。試験時間内に書くのであれば前者のような解答になるかもしれませんが、後者の訳が個人的にすんなり来ました。「失敗を重ねる」→「たくさんのことを学ぶ」→「そのことが大きな武器となる」と次の文に繋げて読んでも差し支えありません。

「大きな武器となる」

勿論のことですがこの「武器」は文字通り「武器」ではありません。weaponなどと直訳してしまうと、とんでもない困難に向かって銃を発射したり戦車に乗って攻撃をするような事態になってしまいます。(笑)

ここでは「武器となる」→「助け/ 力となる」と読み替えるのがよいでしょう。

help / give you [power / strength] / be a [big / great] help / be [very / really] helpful

などの表現が思い付きそうです。

いずれにせよ、「与えられた日本語をそのまま1対1で英語に訳すのではく、日本語が意味するところをしっかりと吟味して、元の意味を保ちながら日本語を言い換えて、自分が知っている英語の表現で対処する」という基本姿勢が求められていることには変わりないでしょう。

予備校の解答速報や普段の京大の赤本を見ていても思うことですが、受験生のレベルから見た時に「これ(=この単語やコロケーション)は自信を持って書けないぞ!」というものがあまりにも多い印象を受けました。家でゆっくり英英辞典を引いたり用例を調べたりしながらだと書ける表現ではあるのですが、試験本番にこれらの表現を100パーセント正しいと自信を持って書けるかと問われるとそうはいきません。そんな中で竹岡広信先生の指導を1年間受けて、「自分が知っている英語の表現で対処する」ということが非常に大切なことであると感じました。

英作文に関してはこちらの記事も参考にしてください!

さて、少し話が脱線してしまいましたが、最後の大問を見ていきましょう。

大問4

2018年ぶりに会話文を埋める形式の自由英作文が復活しました。今年のものに特徴的なことは語数指定があることです。だらだらと書いていては語数オーバーになってしまうので端的に表現しましょう。

去年の手紙文が難しすぎたせいか、今年のものはまだ比較的容易に見えます。会話文のテーマはHasty Generalization早まった一般化」という誤謬(ごびゅう)です。

この誤謬が一体何かというと、会話文中にも、

a hasty generalization, which means drawing an overly generalized conclusion from one or a few examples.

と説明がある通り、「少ない例を見た時に共通している法則が、すべての例に対して当てはまると一般化してしまうこと」です。

例えば、この会話文中ではNoahが「レストランのピザを食べて不味かった。だからこのレストランの全ての料理は不味い!」と発言している部分がまさにそれに当たりますね。

(1)(2)はレストランの料理は不味いであろう原因を端的に述べます。

(3)は早まった一般化の例を挙げる問題です。例えばこの前自分がツイートしたように、「あるマイメロディ好きな人がメンヘラであった。だからすべてのマイメロディ好きな人はメンヘラだ!」なんて思いこむのは間違っているということです。(ちなみにマイメロディは英語でもそのままでMy Melodyだそうです。)

(4)は早まった一般化を理解したので、そのレストランの料理の味の是非をもう一度きちんと確かめようではないか、ということを端的に述べます。

大問4はこれまでの京大の会話文の中でも何を書くべきかということが明確であり、今回の英語のセットでは点数の稼ぎ所になるような気がします。

今年度の解答速報も予備校によって解答がばらける部分があり、ミスもありました。かといって、その予備校の解答速報を担当した先生方が英語ができないと思い込んでしまうのは誤りです。これこそ、上で挙げたHasty generalizationです。それと関連して、最近Twitterを見ていて思うのですが、たった1つのミスを見て、その方の実力を否定するようなことが多々あるような気がします。早まった一般化にはくれぐれもお気を付けを。

といったところで解説本編を締めさせていただきます。

あとがき

最後まで閲覧していただき、ありがとうございました。

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今年の大問1、2の解説はこちらからご覧になることができます。大問1は約2万文字、大問2は約3.5万文字です。全英文解釈、文法解説、文章の背景解説を丁寧に扱っています。

また、当サイトでは英語・数学を中心に大学受験+αの情報を発信しています。以下のおすすめ記事もぜひ合わせてご覧になってください。それでは!

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筆者の紹介

櫻田 侑也(さくらだ ゆうや) 京都大学理学部1回生

英語が嫌いという理由で朝のホームルームに英会話がある西京中学ではなく、洛北高校附属中学校を目指し、洛北高校附属中学校中高一貫)に補欠合格。模試は高1から全てA判定を出し、高2では駿台全国模試の英語・数学の偏差値80越え。高3では夏の京大模試で経済学部理系で4回連続1位を取り、秋は全て理学部で冊子掲載。英語に関しては駿台で竹岡先生の高3エクストラ英語αで学び、京大模試で全国15位以内を7回取る安定した成績を収めた。
(以下、全国15位以内の模試のみ成績を添付)

京大模試

第1回京大入試プレ 117/150,11位 (74.9)
第1回京大オープン 120/150,6位 (76.5)
第1回京大実戦 113/150,13位 (77.0)
第2回京大オープン 120/150,10位 (76.2)
第2回京大入試プレ 114/150,6位 (70.8)
第4回Z会京大テストゼミ 124/150,1位 (67.5)
第3回京大本番レベル模試 136/150,1位 (70.4)

その他模試

東工大入試実戦模試 113/150,5位 (82.5)
河合塾京大本番プレテスト 121/150 など

※素点と全国順位を記載,()内は偏差値

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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