入試数学演習 大学受験 数学

【入試数学演習No.1】定積分関数の極限計算

目次

  1. 問題
  2. 方針
  3. 解答
  4. あとがき

問題

\(n\)を正の整数とするとき,次の極限値を求めよ.
\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \int_0^\pi \mathrm{e}^{x}|\sin nx| dx\)

方針

desmosを使って\(n\)の値を変化させながらグラフを書いてみると以下のようになります。

https://www.desmos.com/calculator/ikgmtgsvop?lang=ja

式を見ただけで挙動を想像できた方もいますかもしれませんが、どんどん切れ目が細かくなっていくイメージです。そしてその薄切りにされた部分の面積の合計が求める値になっているわけです。(このグラフを見続けてると目がくらみますね笑)

さて定積分の部分を直接計算する、あるいは評価することが極限値を求めるために必要ですが、積分関数が(指数関数)×(三角関数)となっており、ぱっと見直接計算したくなるでしょう。しかし、厄介なことに\(\sin nx\)に絶対値が付いており、\(|\sin nx|\)は\(x\)の値に応じて正になったり負になったりして場合分け処理が面倒になってしまいます

このような状況を解決するために、次のような置換積分を行うことが一般的です。他にも(教科書などに載っている基本レベルを逸脱している)頻出の置換積分のパターンがありますので、以下でまとめておきます。本問では以下の②、③を用いることになります。

置換積分

①\(\int_0^x f(x-t) dt\)のように関数の中身に\(x-t\)があるとき
\(x-t=u\)とおく。(\(x-t\)をカタマリとみる)

②\(\int_0^\pi \mathrm{e}^{x}|\sin nx| dx\)のように\関数の中身に\(x\)の実数倍があるとき
\(nx=t\)とおく。(\(nx\)をカタマリとみる)

③\(\int_{(k-1)\pi}^{k\pi} (\mathrm{e}^{\frac{1}{n}})^t|\sin t| dt\)のように(指数関数)×(周期関数)の定積分
\(t-(k-1)\pi =u\)とおく。(原点近くまで平行移動(置換)する

※②、③は同時に出てくることが多いです。(減衰振動や定区間における無限回振動のグラフの面積)

定積分関数の計算には他にも様々なポイントがありますので、後々それらをまとめた記事を投稿する予定です。

解答

\(I_n =\int_0^\pi e^x|\sin nx| dx\)とおいて、\(nx=t\)と置換すると、
\(x:0→\pi\)のとき\(t:0→n\pi\)
\(dt= ndx\)
であるから、

\begin{align}
I_n &= \frac{1}{n}\int_0^{n\pi} e^{\frac{t}{n}}|\sin t| dt \\
&=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \int_{(k-1)\pi}^{k\pi} e^{\frac{t}{n}}|\sin t| dt
\end{align}

ここでさらに\(u=t-(k-1)\pi\)と置換すると、
\(t:(k-1)\pi→k\pi\)のとき\(u:0→\pi\)
\(du=dt\)
であるから、
\begin{align}
I_n &=\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n} \int_0^\pi e^{\frac{u+(k-1)\pi}{n}}|\sin(u+(k-1)\pi)| du \\
&=\frac{1}{n}\int_0^\pi e^{\frac{u}{n}}\sin u du \sum_{k=1}^{n} (e^{\frac{\pi}{n}})^{k-1} \\
\end{align}

(∵\(|\sin(u+(k-1)\pi)|=|\sin u|=sin u\))(\(k-1\)は整数、\(0 \leq u \leq \pi\)において\(\sin u \geq 0\))
まず、Σより後ろの部分は等比数列の公式を用いて先に計算することが可能であり、
\(\sum_{k=1}^{n} (e^{\frac{\pi}{n}})^{k-1} = \frac{1-e^\pi}{1-e^{\frac{\pi}{n}}}\)
となる。
次に、定積分の部分を計算することになるが、
\((e^{\frac{u}{n}}\sin u)' =\frac{1}{n}e^{\frac{u}{n}}\sin u + e^{\frac{u}{n}}\cos u \tag1\)
\((e^{\frac{u}{n}}\cos u)' =\frac{1}{n}e^{\frac{u}{n}}\cos u - e^{\frac{u}{n}}\sin u \tag2\)
(1)-(2)×\(n\)の両辺を0から\(\pi\)まで定積分することで、
\begin{align}
\frac{1}{n}\int_0^\pi e^{\frac{u}{n}}\sin u du &= \frac{1}{n}[\frac{n}{n^2+1}e^{u}{n}(\sin u-n\cos u)]^\pi_0 \\
&=\frac{n}{n^2+1}(1+e^{\frac{\pi}{n}}) \\
\end{align}

となる。以上をまとめることにより、
\begin{align}
I_n &=\frac{n}{n^2+1} \frac{(1-e^\pi)(1+e^{\frac{\pi}{n}})}{1-e^{\frac{\pi}{n}}} \\
&=\frac{n^2}{n^2+1} \frac{(e^\pi -1)(1+e^{\frac{\pi}{n}})}{e^{\frac{\pi}{n}} -1} \frac{\pi}{n} \frac{1}{\pi} \\
&=\frac{1}{\pi} (e^\pi -1) \frac{n^2}{n^2+1} (1+e^{\frac{\pi}{n}}) \frac{\frac{\pi}{n}}{e^{\frac{\pi}{n}} -1} \\
\end{align}

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{n^2}{n^2+1} =1\)
\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} 1+e^{\frac{\pi}{n}} =2\)

\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{\pi}{n}}{e^{\frac{\pi}{n}} -1} =\displaystyle \lim_{s \to 0} \frac{s}{e^s - 1} =\displaystyle \lim_{s \to 0} (\frac{e^s -1}{s})^{-1}=1\)

これらをかけ合わせることにより、求める答えは、
\(\displaystyle \lim_{n \to \infty} I_n = \frac{2}{\pi}(e^\pi -1)\)となる。 (答え)

注意

極限公式:\(\displaystyle \lim_{s \to 0} \frac{e^s -1}{s}=1\)について

記述式答案で書く際にわざわざ証明する必要はありませんでしょうが、微分係数の定義から直ちにこの公式を証明することが可能ですので一度証明しておきます。(他に今すぐに思い付く証明方法がもう1つありますが、本題から逸れますので本記事での紹介は控えさせていただきます。)

\(\frac{e^s -1}{s}=\frac{e^s - e^0}{s-0}\)
この式で\(s\)を限りなく0に近づけると、\(e^s\)の\(s=0\)における微分係数に収束する。(∵微分係数の定義式
\((e^s)'=e^s\)でありこれに\(s=0\)を代入すると1になる。ゆえに与式は1に収束する。(証明おわり)

あとがき

最後まで閲覧していただきありがとうございました。

今回の入試問題解説のほう、いかがだったでしょうか。

類題として、2001年京都大学理系前期大問6が有名です。合わせて解いておくと解法定着につながると思います。

数学では入試問題1問から学ぶべきことが多くあると思います。復習して解法をどんどんと溜めていきましょう!

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最終更新:2020 9/18(Fri.)

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数物)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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