入試数学演習 大学受験 数学

【入試数学演習No.13】今週の整数問題No.2 解答・解説

目次

  1. 問題
  2. 方針
  3. 解答
  4. あとがき

問題

\(a\)を\(2\)以上の整数, \(p\)を\(3\)より大きい素数とする。ある正整数\(k\)に対して等式

\(a^{p-1}-1=p^k\)

が成り立つのは, \(a=2, p=3\)の場合に限ることを証明せよ。

(16 奈良県立医科大学 医学部 後期)

方針

まずは整数問題の基本方針についておさらいしておきましょう。

整数問題の基本方針3つ

1. 約数倍数に注目する(因数分解を伴うことが多い)
式\(1\)つが式\(2\)つになるというとても強力な手段です。整数問題では文字変数に対して式の数が不足している場合がありますが、その不定性の解決策の1つがこの因数分解になるわけです。整数問題ではまず因数分解可能性を考慮してみるとよいでしょう。
特に、素数が登場する場合で因数分解できるのであれば(積の形)=(素数の累乗)と変形することが多いです。
因数分解をするために以下の②③を用いることもあれば、逆に①を用いて式を増やした後に②③を利用することもありますので、そこは臨機応変にいきましょう。

2. あまりに注目する(\(\mathrm{mod}2,3,4,5,7,8\)あたりを考えたり、素数が絡んだりすることが多い)
→特に、実験をすることが多いです。(近年の京都大学の入試問題を見てみましょう。)
「素数であることを示せ」「素数になる条件を求めよ」の類はたいてい、(ⅰ)実験により規則を発見して有名な\(\mathrm{mod}\)での論証 (ⅱ)背理法 (ⅲ)ユークリッドの互除法のいずれかで解決します。

3. とりうる範囲に注目する(分数型の不定方程式や関数の発散スピード
分母のほうの次数が高いとき、整数になる場合が限られることや、多項式関数指数関数では代入する値が大きくなると関数の増加スピードが圧倒的に違うことを利用することが多いです。

→本問では

与式がいかにも因数分解できそうな形をしているのと、\(p\)が素数であるという条件を使用したいので、まずはそこに注目するのが良さそうです。今特に\(p \geq3\)ですので、\(p\)は奇素数です。良く用いる事実なのですが、

素数は\(2\)のみが偶数であり, 他すべては奇数の素数である(奇素数とよく言う)

というものがあります。(ほぼ自明なことですがうっかり忘れていることがあったりします。)

すると\(p-1\)は(奇数)-(奇数)なので偶数となり左辺は\((a^{\frac{p-1}{2}})^2-1\)となり、2乗の差の形になるので因数分解ができそうです。しかも都合の良いことに右辺が元から素数\(p\)の累乗の形になってくれています。では実際に因数分解を実行して議論を進めていきましょう。

解答

\(p\)は奇素数であり、\(p-1\)は偶数だから、与式を因数分解することができて、

\((a^{\frac{p-1}{2}}+1)(a^{\frac{p-1}{2}}-1)=p^k\)

となる。\(a^{\frac{p-1}{2}}+1>0, p^k>0\)であることから\(a^{\frac{p-1}{2}}-1>0\)となり、また、左辺の2項の大小関係について\(a^{\frac{p-1}{2}}+1>a^{\frac{p-1}{2}}-1\)である。

これらのことと\(p\)が素数であることから、整数\(i,j\)を用いることで、

\begin{align}
a^{\frac{p-1}{2}}+1 &= p^i \\
a^{\frac{p-1}{2}}-1 &= p^j (0 \leq j<i \leq k, i+j=k)
\end{align}

となる。この2式から\(a\)を消去すると、

\begin{align}
p^i-p^j &= 2 \\
p^j(p^{i-j}-1) &= 2
\end{align}

となる。\(p^j>0, p^{i-j}-1 \geq 0\)であることから、

\((p^j,p^{i-j}-1)=(1,2),(2,1)\)

となるが、後者に関しては\(p^j=2\)より\((p,j)=(2,1)\)となるがこれは\(p \geq 3\)に矛盾する。ゆえにあり得るのは前者の場合のみであり、\(p^j=1\)でかつ\(p \leq3\)であることから\(j=0\)が従う。

これをもう一つの式に代入することで、\(p^i-1=2\)となるが、\(p \geq3, i>j=0\)より\(p \geq 5\)のとき、\(p^i-1 \geq 5^1-1 =4>2\)となり不合理。よって\((p,i)=(3,1)\)である。

このとき最初の式に戻ることで\((a,p)=(2,1)\)を得る。(\(k\)は確かに存在している。)ゆえに与式が成り立つのは, \(a=2, p=3\)の場合に限る。(証明おわり)

注意

1°)因数分解をして積の形を作成した後、いきなり候補となる組をすべて書き出すのではなく、積の部分の正負や大小関係、さらには偶奇の一致や相違などに注目してある程度は候補を絞ってから議論を進めていくべきである
→本問では「\(a^{\frac{p-1}{2}}+1>0, p^k>0\)であることから\(a^{\frac{p-1}{2}}-1>0\)となり、また、左辺の2項の大小関係について\(a^{\frac{p-1}{2}}+1>a^{\frac{p-1}{2}}-1\)である。」という議論の部分にあたります。

候補をすべて調べていてはかなりの時間がかかってしまうことになってしまいます。特に(積の形)=\(10000\)だったとします。\(10000\)の約数なんてかなり多くありますし、そこに正負の可能性も考慮すると候補1つ1つを調べるのには心が折れそうになります。

2°)因数分解ができたならばとにかく式に起こすべきである。
→本問では、整数\(i,j\)を導入することでその先の議論を進めることが可能になっています。

3°)条件の弱い文字を消去した方が議論が進みやすい
→本問では「この2式から\(a\)を消去すると」という部分にあたり、「素数」という条件の強い\(p\)やある程度制約のある\(i,j\)を残すような変形をしています。

この3点に注意していれば以下のような問題も難なく解けるようになるでしょう。

(類題)整数問題・因数分解-積の形を作成した後の絞り込み
\(3\)以上\(9999\)以下の奇数\(a\)で, \(a^2-a\)が\(10000\)で割り切れるものをすべて求めよ。
(東京大学)

あとがき

最後までご覧いただきありがとうございました。Twitter上で毎週金曜日の夜にハッシュタグ「今週の整数問題」をつけて問題を投稿しています。是非解いてみてください!解説記事も順次作成していきます。

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前回の整数問題は以下の記事からご覧になることができます。

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数物)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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