入試数学演習 大学受験 数学

【入試数学演習No.18】今週の整数問題No.7 解答・解説

目次

  1. 問題
  2. 方針
  3. 解答
  4. あとがき

問題

連続する自然数の2乗の和は\(2020\)となりうるか議論せよ。

例えば, \(25\)は\(3^2+4^2, 5^2\)と2通りで表せる。(1個の自然数の2乗でも良い。)

(2020年2月 自作問題より)

方針

まずは整数問題の基本方針についておさらいしておきましょう。

整数問題の基本方針3つ

1. 約数倍数に注目する(因数分解を伴うことが多い)
式\(1\)つが式\(2\)つになるというとても強力な手段です。整数問題では文字変数に対して式の数が不足している場合がありますが、その不定性の解決策の1つがこの因数分解になるわけです。整数問題ではまず因数分解可能性を考慮してみるとよいでしょう。
特に、素数が登場する場合で因数分解できるのであれば(積の形)=(素数の累乗)と変形することが多いです。
因数分解をするために以下の②③を用いることもあれば、逆に①を用いて式を増やした後に②③を利用することもありますので、そこは臨機応変にいきましょう。

2. あまりに注目する\(\mathrm{mod}2,3,4,5,7,8\)あたりを考えたり、素数が絡んだりすることが多い)
→特に、実験をすることが多いです。(近年の京都大学の入試問題を見てみましょう。)
「素数であることを示せ」「素数になる条件を求めよ」の類はたいてい、(ⅰ)実験により規則を発見して有名な\(\mathrm{mod}\)での論証 (ⅱ)背理法 (ⅲ)ユークリッドの互除法のいずれかで解決します。

3. とりうる範囲に注目する分数型の不定方程式や関数の発散スピード
分母のほうの次数が高いとき、整数になる場合が限られることや、多項式関数指数関数では代入する値が大きくなると関数の増加スピードが圧倒的に違うことを利用することが多いです。

→本問では

まずは何も考えずに与えられた日本語を定式化してみましょう。「連続する自然数の和」という日本語はやや難しいですが、連続する自然数って「どこから始まってどこで終わるか」を定めれば決まりますよね。ですので、\(m\)から始まって\(n\)までの自然数の和ということにしてみます。(ただし以下では計算を簡略化するため「\(m\)から始まって」という部分を「\(m+1\)から始まって」として計算しています。そのほうが、\(+1\)の分を余分に展開しなくて済みます。)

これをもとに定式化してやると、

\((m+1)^2+ \cdots + n^2=2020 \tag1 \)

となります。このままだと何も進みませんね。ここでこのような計算をしたことを思い出してみてください。例えば、

\(11^2+12^2+ \cdots +20^2\)

を計算するとき、「あれ、スタート地点の自然数が\(1\)ではないからシグマ公式に当てはまらないじゃん」と思い、

\begin{align}
11^2+12^2+ \cdots +20^2 &= \sum_{k=1}^{20} k^2 - \sum_{k=1}^{10} k^2 \\
&= \frac{1}{6} 20 \cdot 21 \cdot 41 - \frac{1}{6} 10 \cdot 11 \cdot 21 \\
&= 2485
\end{align}

無理やりスタート地点を\(1\)に揃えて計算しましたよね。本問でもそうしてやれば、

\begin{align}
(m+1)^2+ \cdots + n^2 &= \sum_{k=1}^{n} k^2 - \sum_{k=1}^{m} k^2 \\
&= \frac{1}{6} n(n+1)(2n+1) - \frac{1}{6} m(m+1)(2m+1) \\
&= \frac{1}{6}(2n^3+3n^2+n)-\frac{1}{6}(2m^3+3m^2+m) \\
&= \frac{1}{6} (2(n^3-m^3)+3(n^2-m^2)+(n-m)) \\
&= \frac{1}{6}(2(n-m)(n^2+nm+m^2)+3(n-m)(n+m)+(n-m)) \\
&= \frac{1}{6}(n-m)(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1)
\end{align}

といった具合に因数分解できますね。あとはこの\(\displaystyle \frac{1}{6}\)を定数項の\(2020\)のほうに移してやれば、

\((n-m)(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1) =2020 \cdot 6 = 12120 \tag2\)

となるので、議論を進めていくことができそうです。さて、何度も書いていることですが、因数分解をした後の値の絞り込みについての注意事項です。効率的に議論を進めていきましょう。

注意1°)因数分解とその値の絞り込み

1°)因数分解をして積の形を作成した後、いきなり候補となる組をすべて書き出すのではなく、積の部分の正負や大小関係、さらには偶奇の一致や相違などに注目してある程度は候補を絞ってから議論を進めていくべきである
→本問でも因数分解をした後、候補をむやみに全て書き出すのではなく、ある程度大小関係や偶奇を見てから式変形を進めました。

候補をすべて調べていてはかなりの時間がかかってしまうことになってしまいます。特に(積の形)=\(10000\)だったとします。\(10000\)の約数なんてかなり多くありますし、そこに正負の可能性も考慮すると候補1つ1つを調べるのには心が折れそうになります。

2°)因数分解ができたならばとにかく式に起こすべきである。

3°)条件の弱い文字を消去した方が議論が進みやすい
【入試数学演習No.13】今週の整数問題No.2 解答・解説 | Sacramyなどの考え方を参考にしてください。

→本問では1°)偶奇の一致や相違などに注目してある程度は候補を絞ってから議論を進めていくが活かせそうです。実際にやってみましょう。(→解答1へ)

また、直接定式化せずに解くこともできます。(引用RTでこの解法で解いて頂いた方ありがとうございました。)以下の点に注目します。(【入試数学演習No.14】今週の整数問題No.3 解答・解説 | Sacramyでも登場した考え方ですね。よくある議論です。抑えておきましょう。)

注意2°)平方数と剰余類

平方数とあまり その1-\(\mathrm{mod}3\)に注目
以下、法を\(3\)とする合同式を考える。一般の自然数\(n\)に対して、\(n\)を\(3\)で割ったあまりは\(0,1,2\)のいずれかだから、\(n \equiv 0,1,2\)なので\(n^2 \equiv 0,1,1\)である。
(∵\(2^2=4 \equiv 1\))

→このことから平方数を\(3\)で割ったあまりは\(0,1\)に限られることが分かります。

平方数とあまり その2-\(\mathrm{mod}4\)に注目
以下、法を\(4\)とする合同式を考える。一般の自然数\(n\)に対して、\(n \equiv 0,1,2,3\)なので\(n^2 \equiv 0,1,0,1\)である。

→このことから平方数を\(4\)で割ったあまりも\(0,1\)に限られることが分かります。

他にも\(\mathrm{mod}2,3,4,5,7,8\)あたりの剰余類を活用することがあります。その際も自分で適宜あまりが一体どのような値を取り得るか?ということに注目してみてください。その際、以下のような対応表を書いておくと、分かりやすいかもしれません!

また、どの剰余類で考えるかは、初めての方は①実験から剰余類を推測 ②トライ&エラーでとにかく色々な剰余類を試す のいずれかの手法になると思います。慣れている方は問題を見た段階でパッとどの剰余類が適切か判断できると思います。

→本問ではとりあえず\(\mathrm{mod}3\)と\(\mathrm{mod}4\)くらいに注目できればかなり候補を絞れます。(→解答2へ)

解答

解1°)因数分解による議論

\(m\)を\(0\)以上の整数、\(n\)を自然数として、自然数\(m+1\)から\(n\)までの和を考えると、

\begin{align}
(m+1)^2+ \cdots + n^2 &= \sum_{k=1}^{n} k^2 - \sum_{k=1}^{m} k^2 \\
&= \frac{1}{6} n(n+1)(2n+1) - \frac{1}{6} m(m+1)(2m+1) \\
&= \frac{1}{6}(2n^3+3n^2+n)-\frac{1}{6}(2m^3+3m^2+m) \\
&= \frac{1}{6} (2(n^3-m^3)+3(n^2-m^2)+(n-m)) \\
&= \frac{1}{6}(2(n-m)(n^2+nm+m^2)+3(n-m)(n+m)+(n-m)) \\
&= \frac{1}{6}(n-m)(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1)
\end{align}

と変形でき、この和が\(2020\)となるとき、

\((n-m)(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1)=2020 \cdot 6 = 12120 \)

となる。ここで\(n-m\)と\(n+m\)の偶奇に関して、\((n+m)+(n-m)=2n, (n+m)-(n-m)=2m\)であり、和も差も偶数だから偶数と偶数または奇数と奇数となり、その偶奇は互いに一致する。

また、\(n^2+nm+m^2\)は整数だから\(2(n^2+nm+m^2)\)は偶数となる。

これより、\(n+m\)と\(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1\)の偶奇は異なることが分かる。

さらに、\(2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1 > 0+(n+m)+0 >n-m>0\)であり、\(12120\)を素因数分解すると、

\(12120=2^3 \cdot 3 \cdot 5 \cdot 101\)

となるから、素因数\(2\)は片方に集まる。(※偶奇の相違)

さらに、\(1\)から順に自然数の2乗を足していくと、単調増加であり、その和が初めて\(2020\)を超えるのは\(19\)まで足した時である。(\(18\)まで足すと\(2109\)で超えず、\(19\)まで足すと\(2470\)で超える)ということは、連続する自然数のうち一番大きいものは少なくとも\(19\)以上であるはずだ。(\(19\)未満だと和が\(2020\)に達しないので不合理)このことから、

\begin{align}
2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1 &\geq 2(19^2+19 \cdot 0+0)+3(19+0)+1 \\
&= 2 \cdot 362 + 58 \\
&= 782
\end{align}

となる。以上のことを総合して、因数分解の組を絞ると候補は以下のようになる:

\((n-m,2(n^2+nm+m^2)+3(n+m)+1)=(15, 8 \cdot 101).(8,1515),(5,8 \cdot 101 \cdot 3),(3, 8 \cdot 101 \cdot 5),(1,12120)\)

※この後\(n-m=k\)(\(k\)は\(15,8,5,3,1\)のいずれか)から\(n,m\)のいずれか片方を消去し、もう一方の式を\(n\)または\(m\)の2次方程式とみて解くこともできますが、ここではもう少しスマートな解法を紹介しておきます。

さて、\(n-m=k \)ということは「\(n=m+k\)つまり\(m+1\)からスタートして\(m+k\)までの\(k\)個の自然数の和」ということである。

以下\(l\)は整数としておく。(範囲は適宜、連続する自然数の下端が自然数となるように調整するものとする。)

①連続する1個の自然数の和のとき

\(44^2=1936 < 2020 < 2025=45^2\)より\(2020\)は平方数ではないから不合理。

②連続する3個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-1)^2+l^2+(l+1)^2 &=2020 \\
3l^2 &= 2018
\end{align}

となり、左辺は3の倍数であるが右辺は3の倍数ではないので不合理。

③連続する5個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-2)^2+ \cdots +(l+2)^2 &=2020 \\
5l^2 &= 2010 \\
l^2 &= 402
\end{align}

となり、\(20^2=400 < 402 < 441=21^2\)から不合理。

④連続する8個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-3)^2+ \cdots +(l+4)^2 &=2020 \\
8l^2+8l &= 1976 \\
l^2+l &= 247
\end{align}

となり、連続2整数の積は単調増加であり、\(15 \cdot 16 = 240 < 247 < 272 = 16 \cdot 17\)より不合理。

⑤連続する15個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-7)^2+ \cdots +(l+7)^2 &=2020 \\
15l^2 &= 1740 \\
l^2 &= 116
\end{align}

となり、\(10^2=100 < 116 < 121=11^2\)から不合理。

以上の議論より、題意を満たす自然数の組は存在せず、連続する自然数の2乗の和は\(2020\)となることはない。(答え)

※以上のように連続する自然数を対称性よく数式で表現しておくと、\(l\)の1次の項が相殺して消えてくれるので計算量が減るのでおすすめです。

解2°)平方数とあまりによる議論

まず、\(44^2=1936 < 2020 < 2025=45^2\)より\(2020\)は平方数ではない。また、\(2020\)は4の倍数である。

また、\(1\)から始めて\(19\)まで足すと\(2470\)でその和が\(2020\)を超える。よって連続する自然数の個数は最大でも\(18\)個である。

自然数の2乗の\(\mathrm{mod}4\)を順に並べると、\(1,0,1,0,1,0, \cdots\)となる。(2周期)\(2020\)は4の倍数だから\(1\)を4の倍数回足すようにしなけらばならない。

ということは\(1\)から始めた場合、\(1010101\)で7個の自然数を足すか\(10101010\)または\(01010101\)で8個の自然数を足すかである。

また、\(101010101010101\)で15個の自然数を足すか\(1010101010101010\)または\(0101010101010101\)で16個の自然数を足す場合も考えられる。

以下\(l\)は整数としておく。(範囲は適宜、連続する自然数の下端が自然数となるように調整するものとする。)

①連続する7個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-3)^2+ \cdots +(l+3)^2 &=2020 \\
7l^2 &= 1992 \\
\end{align}

となり、左辺は7の倍数だが右辺は7の倍数ではないので不合理。

②連続する8個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-3)^2+ \cdots +(l+4)^2 &=2020 \\
8l^2+8l &= 1976 \\
l^2+l &= 247
\end{align}

となり、連続2整数の積は単調増加であり、\(15 \cdot 16 = 240 < 247 < 272 = 16 \cdot 17\)より不合理。

③連続する15個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-7)^2+ \cdots +(l+7)^2 &=2020 \\
15l^2 &= 1740 \\
l^2 &= 116
\end{align}

となり、\(10^2=100 < 116 < 121=11^2\)から不合理。

④連続する16個の自然数の和のとき

\begin{align}
(l-7)^2+ \cdots +(l+8)^2 &=2020 \\
16l^2+16l &= 1676 \\
\end{align}

となり、左辺は16の倍数だが右辺は16の倍数ではないので不合理。

以上の議論より、連続する自然数の2乗の和は\(2020\)となることはない。(答え)

あとがき

最後までご覧いただきありがとうございました。Twitter上で毎週金曜日の夜にハッシュタグ「今週の整数問題」をつけて問題を投稿しています。是非解いてみてください!解説記事も順次作成していきます。

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前回の整数問題は以下の記事からご覧になることができます。

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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