大学受験 数学 高校数学解法集

【高校数学解法集No.1】実数係数の3次方程式の扱い方

目次

  1. 問題
  2. 方針
  3. 解答
  4. あとがき

問題

実数係数の3次方程式\(f(x)=0\)が少なくとも1つ虚数解をもつとする.このとき以下が同値であることを証明せよ.
(ⅰ)\(f(x)=0\)の3解が複素数平面上で正三角形の頂点となる.
(ⅱ)2次方程式\(f'(x)=0\)が重解をもつ.
(創作問題)

解説を見る前に一度自力で解いてみてください。

方針

まず、実数係数の3次方程式は一般に\(ax^3+bx^2+cx+d=0\)(\(a,b,c,d \in \mathbb{R}\))(\(a≠0\))と書けますが、これだと文字が4つもあるので、両辺を\(a\)で割ることによって最高次の係数を1に調整することができます。これは同値な操作(∵\(a\)を両辺にかけるともとの式に戻せます)ですので、実数係数の3次方程式は結局は、文字を3つに減らして、\(x^3+ax^2+bx+c=0\)(\(a,b,c \in \mathbb{R}\))と一般に書くことができます。(【注意】この\(a,b,c\)はいちばん最初に出てきたものとは違うものです。混同しないようにしてください。)

次に、その3次方程式の解を扱っていくことになりますが、3次方程式には解の公式はあるもののそれを使用することは高校数学においては現実的ではありません。ゆえに、因数分解もろくにできず、解の具体的な様子が不明なときは(既にチャート式やFocus Goldで経験済みだとは思いますが)解と係数の関係を用いることにより解の様子を探っていくことになります。

最後に、3次方程式がもつ3つの解が具体的にどのようなもので構成されているかについて述べておきます。

1. 実数解は少なくとも1つ存在する

(証明)
上記の3次方程式について、\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} f(x)=\infty\)、\(\displaystyle \lim_{x \to \ -\infty} f(x)=-\infty\)であり、中間値の定理から開区間[\(-\infty, \infty\)]に実数解は少なくとも1つ存在している。(証明おわり)

2. 虚数解を持つ場合、共役複素数解をもつ

(証明)複素数\(\alpha\)が上記の3次方程式の解であるとすると、もとの方程式に代入して、\(\alpha^3+a\alpha^2+b\alpha+c=0\)が成立する。ここで、両辺の共役複素数を考えると、\(a,b,c\)は実数であるから、\(\overline \alpha^3+a\overline\alpha^2+b\overline\alpha+c=0\)となり、\((\overline \alpha)^3+a(\overline\alpha)^2+b(\overline\alpha)+c=0\)となるから、\(\overline\alpha\)もこの3次方程式の解となる。(証明おわり)

→以上2つの事実により、実数係数の3次方程式の3解は、
3つの実数解
1つの実数解と2つのお互いに共役な虚数解
のいずれかの組み合わせで必ず構成されていることが結論づけられます。この2つの事実は高校数学においては自明であるという前提のもと解答を書いてもおそらく減点されません。(駿台予備校数学科三森先生より)が、念のため時間が十分にあるのであればこの2つのことを記述しておいたほうがよいでしょう。(自分は必ず毎回書くように習慣づけていました。)

「どうしても時間がない!」という場合は、「実数係数の3次方程式」であることを宣言しておけばよいでしょう。「実数係数」、というワードが重要になっています。

以上のことを実際の解答に落とし込む際には、以下のような方針で記述していけば大丈夫です。

(ⅰ)①のときを議論する(この議論はたいていの場合題意の条件に不適であり、すぐ終わります。)
(ⅱ)②のとき、3解を\(p+qi,p-qi,r\)(\(p,q,r, \in \mathbb{R}\))(\(q > 0\))とおいて議論する
(ⅲ)解と係数の関係を用いる

※(\(q > 0\))としておかないと、共役複素数解の対称性が維持されたままになってしまい、記述する量が増えてしまって面倒です。

→本問では

複素数平面上で正三角形の頂点となると言っている時点で、3解とも実数の場合はすぐに除外できるので、考えるべきは②のパターンのみだと直ちに分かります。2次方程式\(f'(x)=0\)が重解をもつ条件のほうはすぐに定式化できますが、正三角形の頂点となる条件のほうは定式化には様々な方法がありますが、ここでは最も汎用性の高い方法を提示しておきます。
\(p+qi\)と\(p-qi\)は複素数平面上で実軸対称な2点であり、\(r\)を表す点は実軸上にありますので、既に二等辺三角形であることは保証されています。これを正三角形にしようと思えば、例えばどれか1つの角度が\(\frac{\pi}{3}\)であることや、3辺の長さが等しいことを示す方法がすぐに思い付くと思いますが、前者は3点の位置関係によっては一般性を欠く可能性があり、後者は絶対値の2乗を展開する時に計算ミスをする可能性を増やしてしまいます。ですので、以下で最もスマートな方法を提示しておきます。

3解が複素数平面上で正三角形の頂点となる条件

条件:\(|p-r|=\sqrt3 q\)(以下の図を参照してください。)
絶対値をつけることで、\(p\)と\(r\)の位置関係について一般化しています。また共役複素数解をもつ条件下においてこの条件が、3解が正三角形の頂点となることと同値であることは、三角比より直ちに分かります。
※絶対値が付いているので両辺を2乗して用いることになります。(\(q > 0\)の条件下ですので、2乗しても同値性が崩れることはありません。)

解答

\(f(x)=0\)は実数係数の3次方程式であり、少なくとも1つ虚数解をを持つことから、その3解は1つの実数解と2つのお互いに共役な虚数解で構成されていることが分かる。
ここで、\(f(x)=x^3+ax^2+bx+c\)(\(a,b,c, \in \mathbb{R}\))として最高次の係数を1としても一般性を失わない。
さらに、3解を\(p+qi,p-qi,r\)(\(p,q,r, \in \mathbb{R}\))(\(q > 0\))とすると、解と係数の関係により、
・\((p+qi)+(p-qi)+r=-a\)
・\((p+qi)r+(p-qi)r+(p+qi)(p-qi)=b\)
・\((p+qi)(p-qi)r=-c\)
これらを整理すると、
・\(2p+r=-a\)
・\(2pr+(p^2+q^2)=b\)
・\((p^2+q^2)r=-c\)

(ⅰ)について、2つの虚数解が実軸対称であることから、(ⅰ)は\(|p-r|=\sqrt3 q\)と同値である。
(ⅱ)について、\(f'(x)=3x^2+2ax+b\)であり、この2次方程式が重解をもつことは\((判別式 \frac{D}{4}) = 0\)であることと同値であるから、結局(ⅱ)は\(a^2-3b=0\)と同値である。
\(a^2-3b=0\)に解と係数の関係から得た式を代入して\(p,q,r\)を主体として議論を進めていくと、
\((2p+r)^2-3(2pr+p^2+q^2)=0\)
\(4p^2+4pr+r^2-6pr-3p^2-3q^2=0\)
\(p^2-2pr+r^2-3q^2=0\)
\((p-r)^2=3q^2\)
\(q > 0\)であることから、\(|p-r|=\sqrt3 q\)となるが、これは(ⅰ)と同値な条件に他ならない。
ゆえに、(ⅰ)と(ⅱ)は同値である。(証明おわり)

余談

2次方程式が重解をもつとき、\(a^2-3b=0\)であり、この式から\(b=\frac{1}{3}a^2\)となります。これをもとの2次方程式に代入すると、\(3x^2+2ax+\frac{1}{3}a^2=0\)つまり、\((3x+a)^2=0\)となり、\(x=-\frac{a}{3}=\frac{2p+r}{3}\)となりますが、これは3解が複素数平面上で成す正三角形の重心の座標となっています。

さて、ここでもとの3次方程式に注目すると、\(x^3+ax^2+\frac{1}{3}a^2x+c=0\)となりますが、この式の右辺を立方完成すると(複素数平面上の正三角形を見たらとりあえず立方完成する発想は持っておきましょう)、\((x+\frac{1}{3}a)^3=\frac{1}{27}a^3-c\)となり、右辺の定数部分をβとでもしておくと、この3次方程式の3解は、1の3乗根ωを用いることで、\(-\frac{1}{3}a+\sqrt[3]{β},-\frac{1}{3}a+\sqrt[3]{β}ω,-\frac{1}{3}a+\sqrt[3]{β}w^2\)と表すことができ、この3解は複素数平面上で点\(-\frac{1}{3}a\)を中心(重心)として半径\(|\sqrt[3]{β}|\)の円周上に正三角形を成すことが定式化された条件として分かります。図で見たものが定式化された条件として表されることは面白いですね。

あとがき

最後まで閲覧していただきありがとうございました。

実数係数の3次方程式をテーマとする入試問題は頻繁に出題されており、今年で言えば、京都大学理系大問1でこの解法を使うことのできる問題が出題されています。そちらも合わせて解いておくと実力向上に繋がると思いますので、頑張ってください。

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最終更新:2020 9/18(Fri.)

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数物)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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