目次
まえがき
本記事では教科書レベルの2項係数の関係式を2通りの方法で証明していきます。続編の【保存版】2項係数の関係式の証明 ②応用編 -恒等式の利用- | Sacramyの記事ではさらに深い内容に踏み込んでいきたいと思います。本記事と合わせてご覧になってください。
公式
①\({}_n \mathrm{C} _k = {}_n \mathrm{C} _{n-k}\)
②\({}_n \mathrm{C} _k = {}_{n-1} \mathrm{C} _k + {}_{n-1} \mathrm{C} _{k-1}\)
③\(k {}_n \mathrm{C} _k = n {}_{n-1} \mathrm{C} _{k-1} \)
※\(n\)は\(2\)以上の自然数、\(k\)は\(0\)以上\(n\)以下の整数としておきます。(\(n=1\)の場合を考えると②,③の右辺の2項係数の左側の添え字に\(0\)が出てきますが、あまりにも実用的ではありませんので…。)
→①の公式は数学の答案の中でもよく用いられると思いますが、②,③なんかは登場することはレアで忘れてしまっている方もいるのではないでしょうか。この際に証明を含めて理解して習得してしまいましょう。証明1,2のうち自分でより納得いく方を暗記し、すぐ導けるようにしておくとよいと思います。
証明1(式変形)
[①の証明:直接式変形する]
{}_n \mathrm{C} _k &= \frac{n!}{k!(n-k)!} \\
&= \frac{n!}{(n-k)!(n-(n-k))!} \\
&= {}_n \mathrm{C} _{n-k}
\end{align}
[②の証明:分かりやすい右辺から攻めていく]
{}_{n-1} \mathrm{C} _k + {}_{n-1} \mathrm{C} _{k-1} &= \frac{(n-1)!}{k!(n-1-k)!}+\frac{(n-1)!}{(k-1)!(n-k)!} \\
&= \frac{(n-1)!}{(k-1)!(n-1-k)!} (\frac{1}{k}+ \frac{1}{n-k}) \\
&= \frac{n!}{k!(n-k)!} \\
&= {}_n \mathrm{C} _k
\end{align}
[③の証明:直接式変形する]
k {}_n \mathrm{C} _k &= k \frac{n!}{k!(n-k)!} \\
&= \frac{n!}{(k-1)!(n-k)!} \\
&= n \frac{(n-1)!}{(k-1)!((n-1)-(k-1))!} \\
&= n {}_{n-1} \mathrm{C} _{k-1}
\end{align}
証明2(組み合わせによる解釈)
[①の証明]
\(n\)個のものから\(k\)個のものを選ぶとき、同時に\(n-k\)個の「選ばれないものを選んでいる」ことになる。すなわち、「\(n\)個のものから\(k\)個のものを選ぶ」組み合わせの数は、「\(n-k\)個の選ばれないものを選ぶ」組み合わせの数に一致する。
[②の証明]
\(n\)個のもののうち、特定の1つのものに注目して考える。「\(n\)個のものから\(k\)個のものを選ぶ」組み合わせの数は、「\(k\)個のうち特定の1つを選ばずに残りの\(n-1\)個から\(k\)個のものを選ぶ」組み合わせの数と、「\(k\)個のうち1つは特定の1つを選び、残りの\(k-1\)個は残りの\(n-1\)個のものから選ぶ」組み合わせの数の合計に一致する。
[③の証明]
「まず\(n\)個のもののうち\(k\)個のものを選び、そしてその\(k\)個のものからさらに代表を1つを選ぶ」組み合わせの数は、「まず\(n\)個のものの中から代表を1つを選び、そして残りの\(n-1\)個のものから残りの\(k-1\)個を選ぶ」組み合わせの数に一致する。
(証明おわり)
あとがき
最後まで閲覧していただきありがとうございました。
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最後になりましたが、冒頭で言及していた「2項係数の関係式 ②応用編」の記事のリンクを貼っておきます。入試問題でも時々問われあるテーマですので余力のある方は確認しておくとよいでしょう。
また、関連入試問題として奈良県立医科大学後期から以下の問題を紹介しておきます。かなり重たい問題ですが、頑張って取り組んでみてください!それでは!