化学 大学受験 駿台授業紹介

【駿台】春期講習 化学特講[HG] 講座紹介 -実際の受講生の視点から-

目次

  1. まえがき
  2. 講座概要
  3. 授業内容1-構造論=静をとらえる=
  4. 授業内容2-変化論=動をとらえる=
  5. 山下プリント
  6. 受講した感想
  7. あとがき

まえがき

こんにちは。本記事では駿台の春期講習 化学特講[HG]という講座について、実際の受講生の体験談を語っていきたいと思います。

この講座を担当されているのは、学研プライムゼミにもいらっしゃるかの有名な山下先生です。

山下先生の授業は化学の本質を突く授業として数多くの受験生からの支持を受けており、先生の担当講座は毎回、最大の収容人数の教室を埋めるほどです。化学が苦手な受験生はもちろん、化学が得意な受験生でさえも山下先生の授業からは新たな学びがあり、化学の本質的理解を深めることができます

というのも、高校範囲の化学に、一部大学範囲の化学を分かりやすく交えながら説明されるからです。それによって、「なぜこの現象が起きるのか?」ということが明確になり、丸暗記の化学は淘汰されます。

山下先生の授業を受けることができない場合で石川先生の「原点からの化学」シリーズで本講座とほぼ同じ(あるいはあそれよりも詳しい)内容を本でマスターすることができます。こちらはあとがきの部分で触れています!

ではどうぞ最後までご覧になってください!

講座概要

この講座は計4日間で1日あたり50分4コマの講義が行われます。(当然のことですが、山下先生の場合だと毎日30分から1時間ほど延長します笑)

テキスト前半ではいわゆる「構造論」について扱います。構造論では化学を原子の離散集合というミクロなレベルから見ることで、様々な現象をその現象の根本から説明しようとします。このテキストの著者である石川先生もこのテキストの冒頭でこう仰っています。

物質の世界の多様な姿がわかるには、まず、どんどんミクロなレベルまでおりていって、原子、分子、イオンなどの微粒子の世界に達し、この微粒子の世界で起こっている粒子の離散集合のしくみをしっかりとおさえておかなければなりません。ここから出発しない限り物質の多様な世界を見透かせるようになることは永遠にできません。(中略)ところが、現実にはこの中で特に構造の理論、変化の理論、反応の分類についての重要で根本的な学習がきわめて不足している諸君が多数見られます。そして、このことが化学の学習が発展しない原因となっていることが多いのです。そこで、この春の化学特講では、これらの学習を思い切って強化することにします。

化学特講 駿台化学科編 P6「はじめに」より

石川先生が仰っているように、化学を現象の根本から理解できていない受験生は多くいます。そして、それが丸暗記に繋がってしまい、理論化学、有機化学、無機化学という膨大な情報量の前に圧倒されてしまうこともしばしばあります。

例えば、イオン化エネルギーや電子親和力の部分で丸暗記をしてしまい、挫折した経験はありませんでしょうか?

この講座では、化学をミクロなレベルから見ることで現象の根本が見て取れます。他にも、混成軌道や電子配置、有効核電荷、クーロン力、電気陰性度などに触れることで理論で学ぶ内容のほとんどがその根本から理解できるようになります。

設置校舎

京都校、京都南校、大阪校、茨木校、豊中校、上本町校、神戸校、天王寺校、西宮北口校、西大寺校、名古屋校、丸の内校、浜松校、広島校、福岡校に設置されています。

中でも駿台化学科の2台巨頭である石川正明先生京都南校山下幸久先生京都校を担当されています。

山下先生のほうではテキストの後半部分は扱わず、構造論を4日間かけてみっちり授業します。なお、後半の理論化学の部分についても先生はプリントを大量に下さります。

授業内容1-構造論=静をとらえる=

こちらの章では原子の構造から始まり、電子配置や結合、結晶へと話が進んでいきます。

$1がこのテキストの内容で最も重要といっても過言ではないでしょう。後に続く$2、3の結合・結晶・分子の形などは$1の応用的な内容になります。

$1では原子が発見されるまでの歴史をたどり、さらには原子のさらなる構造(=原子の中心には重たくて正電荷を帯びた原子核が存在すること)が解明されるまでの歴史もたどります。その後、惑星モデル(=原子核の周りを電子がまわっている原子のモデル)が電磁気学的な矛盾を孕んでいることから、電子を波動的に捉える量子力学的なモデルを考えることになります。そこで電子のミクロの世界を支配するシュレディンガー方程式が登場し、電子軌道(s,p,d,f軌道)の話に入っていきます。

電子軌道を理解することで第6周期までの電子配置をまとめて理解することができます。すると、「Br原子の電子配置を書け」「Au原子の電子配置を書け(←京都府立医科大学で過去20年で2回出た問題)」などと突然言われてもすぐに答えることができるでしょう。

さらに、

・K原子とCa原子はなぜN核に電子が先に入るのか→M殻の3d軌道よりもN殻の4s軌道のほうがエネルギー的に安定で、優先して電子が入るから。

・Cr原子とCu原子ではなぜ4s軌道の電子が1つしかないのか→授業内で説明されます。

これに続いて、混成軌道について学習します。有機化学で分子の形状σ結合通常の共有結合)とπ結合2重結合の2本目、3重結合の2,3本目)を理解しようとすると、混成軌道の考え方を持ち出ざるを得ません。

その後、原子核の細かな構造や質量欠損などに触れた後、有効核電荷という概念を持ち出すことで、イオン原子半径電子の出入りのしやすさイオン化エネルギー電子親和力など)について説明されています。

特にこのあたりは丸暗記している受験生が多い印象であり、根本的に理由から理解する必要があると思います。自分も初めて説明を聞いたときは感動しました。例えば自分が受講した年度にはこのような演習問題がテキストについていて、授業内で扱いました。この問題は、化学特講を受けるとピンと理解できると思います。

(演習問題)
問1 ナトリウム1価イオンとマグネシウム2価イオンの電子配置を示せ。
問2 ナトリウム1価イオンとマグネシウム2価イオンのイオン半径を比較すると、マグネシウム2価のイオンのほうが小さい値となっている。マグネシウム2価イオンのイオン半径が小さくなる理由を、40次以内で説明せよ。
問3 ナトリウムとマグネシウムについて、第1イオン化エネルギーはナトリウムとマグネシウムの間に大きな差がないのに対して、第2イオン化エネルギーはナトリウムのほうがかなり大きな値となっている。ナトリウムの場合に第2イオン化エネルギーが大きくなる理由を、60次以内で説明せよ。
(東北大 後期)

$2では電子レベルで考えることでなぜ原子間に結合が生じるのかという根本的な問いからスタートし、そこから共有結合と配分位結合、金属結合、イオン結合と内容を網羅し、$3にも繋がる電気陰性度をイオン化エネルギーと電子親和力を絡めて説明します。

$3ではさらに発展的な内容としてまず結晶を扱い、次に分子の形や結合角について深めていきます。結合角を推定する際に、$1で学習した電子軌道や混成軌道の話が役に立ってきます。さらに、σ結合通常の共有結合)とπ結合2重結合の2本目、3重結合の2,3本目)についても触れ、炭素間2重結合やベンゼン環が正六角形の形をしている理由など有機化学にも役に立つことを学べます。(反対にこのあたりの内容は$1の内容をしっかりと理解できていないと何のことやらさっぱり分からないです。)

授業内容2-変化論=動をとらえる=

こちらの章では基本的な理論化学の計算を扱います。

第1章で学んだ内容を活かして、ミクロな面から諸反応(酸・塩基と中和反応、酸化還元反応、有機反応など)や反応のメカニズム(熱化学、反応速度、平衡など)を表面的にさらっていきます。特に、有機反応の部分では、丸暗記させられがちな有機化学で登場する炭素原子を含む化学反応がなぜ起きるかを理解することができ、今後の学習にも繋がる内容であると言えます。

3,4日目に扱うとテキストに記載されていますが、山下先生の場合だと大量の自作プリントを配布したうえで後は自習です。(なお、プリントとテキストで十分自習できます。)

こちらの内容は夏期講習化学特講Ⅰ【HG】という講座で深堀りされます。今はテキストに載っている本当に基本的なところだけを抑えておきましょう。時間的に余裕がない方は第2章のほうは春は飛ばしておくのも手だと思います。(自分も計算問題は夏期講習の化学特講Ⅰで集中的に鍛えました。)

こちらの方は第1章に比べると今回はサブ的な立ち位置になります。夏は計算問題、無機化学、有機化学がメインになってきます。

山下プリント

山下先生作成のプリント(通称山下プリント)はテキストの補助となるプリントですが、山下先生はプリントをメインに授業を進めます。(テキストは演習問題のみ扱います。)一部テキストに載っていない内容も書かれています。

以上、難解なことを書いたかもしれませんが、先生のプリントは初学者にも配慮して、これらの内容を嚙み砕いて分かりやすく説明しています。

メルカリでも高値で出回っており、そのプリントの人気さがうかがえるかと思います。

受講した感想

受講する前は「化学は丸暗記だ」と思い込んでいましたが、この講座を受講して、化学の理論の背後には、原子のミクロな世界が広がっており、その部分を理解することで諸現象をその根本から理解でき、丸暗記を解消することができました。と同時に、化学の学習が楽しくなったような気がしました。

この講座を受講する前は学校の定期テストで平均点も取れないくらい悲惨な状態でしたが、この講座を受講してから石川先生の「原点からの化学」シリーズにも出会うことができ、高3駿台全国模試の化学では7割、6月の代ゼミの京大プレの化学でも偏差値70近く取ることができました。構造論を理解するだけでかなり化学に対する印象が変わりました。

ただ、この講座を万人にお勧めできるかと言うとそうでもありません。この講座というか駿台の化学の授業自体、授業+授業外での自習も前提にしています。そのくらい講習の4日間で得るものがたくさんあり、受講しただけで直ちに学力が伸びるとはいきません。むしろ、授業後の復習にこそ講習の価値があるのではないか、と思うくらいです。となると、自習する力がある受験生が受講すべきなのではないか、と考えています。実際、自分と同意見の教育関係者の方がいらっしゃいました。

あとがき

最後まで読んでいただきありがとうございました!この記事が受験生や教育関係者の参考になれば幸いです。

山下先生も、現役生にとって原子の構造について授業するのはこれがラストチャンスらしく、通期の授業を取らない場合は「他の講座は取らんで良いからこれだけは取ってくれ」と強く推奨されています。

もし居住地区や予定などの関係で駿台に通うことができない場合は、石川先生の「原点からの化学」シリーズでも本講座とほぼ同じ(あるいはあそれよりも詳しい)内容を本でマスターすることができます。是非購入してみてください!

また、当サイトでは英語・数学を中心に充実した大学受験+αの情報を発信しています。「全国模試1位に学ぶ英語」「入試数学演習」などありますので、ぜひ合わせてご覧ください!

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Yuya Sakurada

洛北(中高一貫)→京都大学理学部2回生|元駿台特待, EX生|予備校勤務 |個別指導講師(英数物)|高3時, 京大模試英語で全国15位以内を1年間で7回達成|ポケモン全国3位(2013), 全国Top8(2017), 全国Top4(2018)|大学受験英語・数学や大学の学問紹介の記事を中心に書いています。

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